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メコン河開発
21世紀の開発援助

著者……松本悟 →→著者略歴と主要著訳書
2900円 A5判 180頁 1997年5月発行

2億2000万の流域人口を抱え、中国を含む東南アジア主要国を流域に持つメコン河。
その流域の水力発電ダム開発の具体的ケースを通じて現状を詳細に分析する。
世銀、アジア開銀、日本政府の動きを紹介しながら、21世紀の開発援助を考える試金石として、メコン河開発を展望。
「持続可能な開発」実現のための条件を、四年にわたる現地でのNGO活動と最新の資料を駆使して浮き彫りにする。

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【主要目次】
序章・「持続可能な開発」の潮流とメコン河開発
●国際環境協力の基本的考え方=「持続可能な開発」
●開発援助の政府指針=「政府開発援助大綱」
●21世紀の開発援助を考える試金石=メコン河開発
第1章・まるで、ダムのパッチワーク---メコン河開発
●パッチワークのようなダム地図
●琵琶湖の半分の面積が水没する
●メコン河下流域のダム計画
●ラオスという国
●森の国ラオス
●メコン河
●乱立するダム計画--四つの資料
●四つの資料の矛盾
●計画がすべて実現すると--ダム開発の全体像
●ラオスの水力発電計画の特徴
●メコン本流ダム計画
●メコン河開発の歴史
●電力自給と輸出--ダム開発の背景
●村人たちの将来は?--ダムがもたらす影響
●注目される、ダムと日本政府の関わり
第2章・住民移転問題---検証ナム・グム・ダム1
●ナム・グム・ダムとは
●貯水効率と住民移転の矛盾
●住民支援のためのスカープ報告書
●平和的に移転できたケース
●共産勢力パテトラオと住民移転
●ダム水没地住民の流浪の旅
●政府の住民移転プロジェクト
●避難民の生活苦
●日本のコンサルタント会社の認識
第3章・経済性への疑問---検証ナム・グム・ダム2
●費用を問われないダム
●ダムの建設コスト
●タービン、変電所などの修復コスト
●水不足に悩むナム・グム・ダム
●水不足はなぜ--集水域管理の重要性
●発電しないダム--ダムが招いた新たなダム
●ナム・グム・ダムを補完するさまざまな援助
●セセット・ダムも水不足
●ナム・グム・ダムの教訓
第4章・援助が援助を呼ぶ---検証ナム・ソン・ダム
●水不足を補うはずのナム・ソン・ダム
●水が使えないワンキー村への訪問
●援助が援助を呼ぶ
●洪水を防ぐはずのダムが……
●建設誘導型の環境影響評価
●ナム・ソン・ダムが残したもの
第5章・水没地の伐採問題---検証ナム・トゥン第2ダム1
●ビエンチャンからタケークヘ
●小さな町タケーク
●小さな町とナム・トゥン第2ダム
●ナム・トゥン第2ダムの概要
●資金不足と森林伐採
●伐採ロード
●タケークからナカイ高原へ--国道12号線
●マハーサイの合板工場
●「東洋のガラパゴス」ナカイ高原の変貌
●新種の哺乳動物“サオラー”
●伐採を独占する山岳開発公社
●伐採と向かい合ったある村長の3年間
第6章・事前調査に何が欠けているか---検証ナム・トゥン第2ダム2
●タイとの電力価格交渉は成立したが……
●世界銀行とは
●世界銀行使節団のエイド・メモワール
●代替プロジェクトの調査
●費用便益の考え方
●住民参加の考え方
●経済効果の調査
●環境評価と保全計画
●情報公開と住民意見の反映
●専門家による独立委員会の設置
●国際河川としての政策
●エイド・メモワールのまとめ
●環境VS経済開発ではない
●住民移転が始まった?
●ナム・トゥン第2ダムをどうするか--世界銀行の模索
第7章・タイは本当に電力を買うのか---検証ナム・トゥン第2ダム3
●タイに左右されるダム開発
●タイによる売電契約の破棄
●タイ電力公社
●民間発電者によるタイ電力公社の民営化
●タイ政府の電力需要予測の混乱
●競争力のないラオスの電力
第8章・声を出せない住民たち
●いくつかの言論事件
●ダムをめぐる言論統制
●あるラオス人の覚悟
●住民へのコンサルテーションの実態--A村
●住民へのコンサルテーションの実態--B村
●住民へのコンサルテーションの実態--C村
●十分な情報と時間が必要
第9章・メコン河をねらう国際社会---メコン河委員会、アジア開発銀行、日本政府
●乱立する国際的枠組み
●メコン河委員会と流域開発計画
●メコン河委員会と住民参加
●中国のメコン河委員会への加盟
●アジア開発銀行
●アジア開発銀行と日本の役割
●大メコン圏経済協力とアジア開発銀行
●優先プロジェクト、ナム・トゥン・ヒンブン・ダム
●アジア開発銀行の融資決定への疑問
●矛盾だらけの調査とアジア開発銀行の態度
●セコン/セサン川流域ダム計画
●セコン/セサン川流域水力発電開発への批判
●日本政府とメコン河流域開発
●ナム・ルック・ダムへの円借款
●ダム開発への日本政府の見方
●大メコン圏開発構想タスクフォース
●2020年の発展像と水力発電
●大メコン圏開発構想の姿勢と位置づけ
第10章・メコン河開発の今後を考える
●問題点の整理
●ダムに群がる各国の事情
●持続可能な開発とメコン河流域開発
●人々や社会の力を引き出す--開発とは何か
●今後に向けて……
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