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メコン河開発 21世紀の開発援助 【書評再録】 | |||
●朝日新聞「ひと」欄(1997年5月15日)=4年余の滞在を下敷きに今月、「メコン河開発」を出版した。村人に伝達するために集めた情報を、日本の人々にも伝えたかった。日本はメコン川開発に深く関わる。直接援助をしているほか、開発の旗振り役であるアジア開発銀行への最大の出資国だ。 「自分たちの未来は自分たちで決めたいということが原点なのです」。国内の干潟干拓や原発建設の問題と同じと考える。 ●日本経済新聞評(1997年6月8日)=日本国際ボランティアセンターというNGOのラオス代表として現地に長く駐在した著者が、この国を中心として、インドシナ3国及びタイにまたがるメコン河開発の柱としてのダム開発と、それをめぐる国際協力のあり方を調べた労作である。 著者は、「開発か環境か」といった二者択一的な見方はとらないが、住民参加のない乱開発が日本の円借款で進められ、この国の将来をそこなう有様を真剣に危惧している。国際協力の現場からの貴重な報告である。 ●図書新聞評(1997年9月13日)=NGOのスタッフとして、4年あまりラオスに滞在した経験から、いずれのダムの場合もダム建設に伴って最も影響を受ける人たちの視点から描かれている。誰のためのダム建設か、誰のための開発か、誰のための援助か、という疑問に対する解答が、一見私たちとは縁遠く思えるラオスのダム建設の事例から明快に浮き彫りにされてくる。 メコン河のみならず、開発、開発援助、国際協力などに関心のある幅広い人たち、とりわけ政府機関、国際機関で働く人たちにお薦めしたい一冊である。 ●週刊東洋経済評(1997年6月14日号)=環境保護や住民参加の必要性を訴えると同時に、「費用・便益」など経済性の検証に多くの紙面を割いているのが特徴的。国際版公共事業であるODAに多方面からメスを入れた力作。 ●エネルギーフォーラム評=(1997年9月号)=東南アジア主要国を流域にもつメコン河の、主に水力発電ダム開発を検証したものである。 援助大国であり、あるいは技術供与国であるわが国もまた、どのようにコミットメントし、土建屋的開発ではなくして、いかにして持続可能な開発にしていくかが問われている。 | |||
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