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水道がつぶれかかっている 【書評再録】 | |||
●毎日新聞評(1998年11月22日)=身近な「水道料金」をキーワードに、わが国の水道行政のかかえる問題点を徹底的に追及した好レポートである。 水道料金というミクロの問題から行政一般のマクロの問題へとアプローチしていく手法はまことにお見事である。 ●産経新聞評(1998年11月17日)=「水と安全はタダ」という日本人の思い込みに対し、地方の水道事業の借金は11兆円に達し、破たん同然だと警告する。 地方の水資源開発と水道行政の実例を挙げながら、地域による料金格差、借金膨張体質など構造的な問題点を指摘。ライフスタイルを変えても水道行政の構造を変えなければ値上げが続くという論点は分かりやすい。 ●週刊現代評(1998年12月5日号)=著者は、日本の水道行政の仕組みと、構造的に抱える問題点を10年の長期にわたって追究し続けてきた。本書は、その実態をわかりやすくまとめたものである。 将来の需要増を見込んで広域水道を開発した結果、巨額の財政負担を強いられた山口・小郡広域水道の失敗例をはじめ、大野ダム、長良川河口堰、宮ケ瀬ダムのケースを取り上げる。そして、大規模開発の抱える矛盾と、それが水道料金値上げという形で家計を直撃する実態を、一つ一つ明らかにしていく。丹念な取材に裏打ちされた好著である。 ●月刊現代評(1999年1月号)=水道行政の驚くべき実態を暴くノンフィクション。 水道事業の借金残高は11兆円という途方もない数字になっているし、水道料金の値上げという形でも市民が高いツケを支払わされている。不必要なダムがなぜこうも作られるのか---その唖然とするカラクリを、長良川河口堰や神奈川県の宮ケ瀬ダムなど具体例をあげてわかりやすく説明する。500兆円を超える財政赤字を抱える日本のシステムの歪みが、水道行政からも浮き彫りになる。 ●ビーパル評(1999年2月号)=気が付けば地下水などの自己水源は放棄させられ、過大な将来の需要見通しに基づく巨大ダムの高価な水を買わされ、結局は莫大な借金を抱え込む。料金値上げでも追いつかずに水道会計は火の車、厳しい自治体財政を大きく圧迫するようになった。 長良川河口堰を含む全国各地を著者が取材、分析を進めていくうち、水道広域化の背後に見え隠れしはじめたのは「とにかくダムを造りたい」という大きな意志の存在だった。 ●環境と文明評(1999年4月号)=水道行政と水資源開発の問題を市民として身近な「水道料金」というキーワードのもとに追求した好著だ。 もともとは地方公営企業であった水道事業が広域化によって国のずさんな計画に巻き込まれること、トンネル会計と財投のためにダム建設が止められないこと、結局は自治体が借金に悩むことになる仕組み、その借金残高は11兆円にも及ぶこと、それは水道料金の急激な値上げで支払われること等々が、著者の10年間に及ぶ綿密な調査によって明らかにされている。 私たち市民が「自分のこととして考え、積極的に政策に参加する」ことが必要だと痛感した。 ●日本農業新聞評(1999年5月3日)=水道行政の仕組みと、構造的問題を明らかにしている。「水道水がまずい」身近な関心から出発。水道料金の値上げや外国と比べて料金が高いことを調べていくと、赤字構造が見えてきた。 水道破綻問題をわかりやすく解説、水政策の転換を迫る。 ●出版ニュース評(1998年12月下旬号)=なぜ、水道事業は赤字になり、借金が増えるのだろう。本書は、まずこの借金の元凶が「広域水道事業」で、これにより、多くの健全な水道事業が赤字に転落し、借金が水道料金を2、3倍にしても手当てできない額になっているという。そして著者は、水資源開発のためのダムが建設される現地を歩き、水道行政の仕組みや、水道事業が背負わされた構造的な問題の全体像をわかりやすく解説しながら、「水道破綻」の実態をレポートしていく。 ●都政新報評(1999年7月23日)=11兆円におよぶ借金残高を抱え、破綻しつつある全国各地の水道事業の実態と、今後、家計を直撃するであろう水道料金のしくみを、誰にでも分かるような平易な文章で解説してある。 とくに、近年、無駄な公共事業のシンボルとして有名になった長良川河口堰と水道事業、水道料金との関係や、小規模な自治体による広域水道事業の破綻、1兆円を費やして水を3トンしか取れないという神奈川県宮ケ瀬ダム・相模大堰建設問題での、差し止め裁判における建設官僚の耳を疑いたくなるような証言に至るまで、よくぞここまで調べ上げた、という事例が沢山載っている。 ●タウンガイド帯広コミュニティアイ評(1999年2月1日)=ロングセラーにしたい本 本書は水道料金をキーワードに、日本の水道行政の仕組みと、それが構造的に抱える問題を明らかにしたもの。ダムなど水資源開発の費用がいかに水道経営を圧迫しているか。そのツケはやがて水道料金にはね返ってくるのだから、無関心ではいられない。 収入減と新しい投資の必要との間でジレンマに陥っている日本の水道経営の全体像をしっかりつかんでいただきたい。 | |||
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