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水道がつぶれかかっている

著者……保屋野初子 →→著者略歴と主要著書
1500円 ●2刷 四六判 210頁 1998年11月発行

日本の水道行政のしくみと、構造的に抱える問題点を、10年におよぶ取材から明らかにした書。
11兆円にものぼる借金残高をかかえ、破綻しつつある全国各地の水道事業。
その膨らみつづける借金と、今後、家計を直撃する水道料金のしくみをていねいに解説。
わかりにくい「水道破綻」問題の全体像に迫る待望のリポート。

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【主要目次】
第1章・水道がつぶれかかっている
  1. どんどん上がる料金、開く格差
    (ウルサイ女たち/地味な水道料金/全国共通のキーワード/「値上げ」と「料金格差」/水道のジレンマ/水道事業というからくり箱を開ける)

  2. つぎはぎだらけの“独立採算”
    (市町村営の独立採算/借金と補助金漬け/営業収入も圧迫/本当につぶれないのか)

  3. 「水資源開発」の主役となった水道
    (「東京五輪渇水」のインパクト/「水資源開発」の発明/都市用水開発時代へ/「水利権」というルール/ダムが増やした水)

  4. マクロな水の大きなツケ
    (“スーパー水道”の出現/人口の半分が閣議決定の水/水の中央集権化/広域化に1000億円/財政赤字に貢献)

第2章・多目的ダムと水道---埼玉県・大野ダムの場合
  1. 「多目的ダム」の本当の目的(建具の村にダム話/困難なイレモノ/一人一日コップ二杯分)
  2. 県民の水と取引
    (122億円、内訳は未定/水道負担たった7パーセント/「水価を下げられないか?」/初めにダムありき)

  3. 水利権に泣く埼玉
    (防災から多目的へ/フルプランに乗るために/本当に水が足りないのか?/地下水を放棄させよ/県営ダム二つとも見直し/ダム見直しのウラ/ダムサイト争奪戦のツケ)

第3章・特殊法人と水道---長良川河口堰の場合
  1. ダムが終わる時代の河口ダム(ムダな公共事業のシンボルか/河口堰のある町で/日本はダム後進国?)
  2. かけ捨てられる600億円余(宮ケ瀬ダムが一つ半出現/工業用水はもういらない/ねじ伏せられた三重県)
  3. ツケは水道料金に乗せて
    (水道に堰もう一つ分/水道の負担額/いくら上がるか/年に6万円の上昇分/小さい町村に大きな負担/水資公団の落とし穴/財投という暴走のエンジン)

第4章・広域水道と水源開発
  1. 山口・小郡広域水道の悲喜劇
    (“おらが水”を誇る人びと/ダムはできたけれど/需要のアテ、まるはずれ/借金を借金で返す/水道局職員の嘆き/県の計画に乗せられ)

  2. 柳井広域水道計画の憂鬱
    (白壁の町の新しい水源/先行投資は500億円超/「高い水を捨てるわけにも……」/異常な「水価」と補助金)

  3. 広域水道の死屍累々(80年代から失敗例/用水供給事業ほぼ赤字/補助金が過大投資誘う)
  4. 広域水道を歴史的に検証すれば
    (ただの予測はずれか/「開発」と「浪費」の両輪/国が直接からむ水/広域化には市民が不在)

第5章・1兆円で水3トン---神奈川県・宮ケ瀬ダムと水道
  1. ダム・テーマパークへ(渓谷をうめつくす水/30年後の「お誕生」/コンクリート使用料日本一)
  2. 宮ケ瀬ダムと双子の相模大堰
    (建設省の手の中へ/長良川タイプの堰出現/ダム二つ分の費用/“もう一つの自治体”)

  3. 法廷にやってきたダムと堰
    (俎上にのった建設官僚/「ほとんど利水が目的だった」/何がなんでも15トン/「わがなき後に渇水よ来たれ」)

  4. まぼろしの水需要予測の上に
    (毎秒15トンの出どころ/ついに「いらなくなった」宮ケ瀬の水/企業団はつぶれない)

  5. 値上げだけが待っている(横浜市議会ヤジの中で/四大水道、値上げ構造へ/“目玉”は移るが……)
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