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和牛経営の技術革新とサイレージ戦略

【書評再録】


●全国農業新聞評(1990年7月4日)=本書は、サイレージ技術開発の第一人者である前農水省草地試験場長の高野信雄氏と農水省北陸試験場企画連絡室長の山下良弘氏が、和牛経営の技術革新を計るため、現場で役立つ新技術を紹介したもの。
具体的には、和牛経営の技術戦略として通年サイレージシステムの導入の必要性を説いているが、これはわが国の酪農でめざましい成果をあげて実証ずみ。
わかりやすく、現場ですぐ役立つ新技術が豊富に紹介されており、和牛経営者にとって必読の書である。

●日本農業新聞評(1990年7月4日)=来年4月の牛肉輸入自由化を控え、和牛農家は「技術武装が必要」で、その大きな武器の一つとしてサイレージをあげている。繁殖、肥育ともにサイレージの利用で競争力をつけていこう、というのが本書の狙いだ。
現在の和牛繁殖経営は「非科学的」と厳しくとらえ、酪農経営が通年サイレージを導入することで多頭化を実現したように、通年サイレージを中心とした技術革新による多頭化、低コスト化を勧める。
肥育についても、現状は「安易な方法がとられている」とし、ホールクロップ、オールイン、コンプリートといったサイレージを活用した「科学的飼料給与」を説いている。
二人の筆者は、農水省の試験研究機関で通年サイレージを研究してきた。これまで和牛農家には縁遠かった通年サイレージ技術を、何とか身近なものにしてもらおうと、各地の研究データや先進事例を盛り込んで、分かりやすく説明している。

●日本農業新聞評(1990年7月1日)=土地利用型で自給飼料を基盤とする競争力のある和牛経営について、多頭化と低コスト生産の技術戦略を具体的に提言している。
わが国の酪農経営での自給飼料の効率的な生産と貯蔵利用(通年サイレージ・システム)が多頭化・高能力化につながった技術を和牛経営に採用するなど環境に適合した新技術がわかりやすく、具体的にまとめられている。
また、筆者が長年にわたって実際に、和牛農家に新技術を導入し、今後の繁殖・肥育経営の発展方向を実証した実践編でもある。

●畜産の研究評(1990年・第44巻8号)=本書は、自給飼料を基盤とした多頭化と低コスト生産で牛肉自由化の難局を乗り越えるよう提言している。自給飼料の通年サイレージを中心とした飼養体系を確立し、足腰の強い、競争力のある経営を実現できるよう、優良事例などをあげながら、具体的、実際的に分かり易く説明されており、肥育、繁殖農家を始め、現場指導者や行政担当者まで幅広く参考になる。

●農林水産図書資料月報評(1990年10月号)=本書は、いま和牛生産が抱える諸々の課題のうち、自給飼料の生産利用、とくに飼料の貯蔵と給与の面から、いかにして和牛のコストを安くするかということに焦点をおいて解説されたものである。
本書は和牛経営の改善すべき問題点をいくつか指摘した上で、技術経営の目標(戦略)を繁殖、肥育に分けて示している。その中で自給飼料の利用にとってすぐれている通年サイレージシステムについて、初めてこれに取り組む者にも理解されるように解説されている。同時にその基礎となるサイレージ作りの実際について具体的に説明している。
ほかに本書の特徴をあげれば、この本の著者である、二人の著者は永年この道の研究普及にたずさわってきたベテランであるばかりでなく、とくに高野氏は研究で得られた成果を広く農家の現場におろし、情熱的な指導によってすぐれた成果を上げておられる。その成果の一部は本書にも事例として紹介されている。それだけに本書は農家が実行する場合に何が問題になるかをふまえて解説されている。そして飼料の貯蔵利用技術が和牛の飼養管理技術との関連のもとに和牛経営水準の向上につながることを念頭においてまとめられている。
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