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「30代後半」という病気 【書評再録】 | |||
●毎日新聞評(2000年5月17日)=家は買うの? 子どもはどうするの! 転職するなら今のうち! 気がつけば下り坂のジェットコースター「30代後半」だ。この年代をどう生き延びるか。実例を引いてその世代を考え、年をとっていくこと、それを自覚することを教える。さまざまな生き方を事例もあげつつ、年をとる練習をする。心が休まり、治る本だ。
●中日新聞、東京新聞評(2000年4月30日)=1960年生まれの著者が「今の日本社会で、30代後半であること」の閉塞感を体験し、現実を受け入れるまでの心の騒動記。「決定」を迫られた「永遠の少年」が、「青年期の終わり」を見つめ、思索する。カウンセラーの利用の仕方、心理的危機を突破する方法を身をもって示した「心の実用書」でもある。 ●共同通信全国配信記事(2000年5月24日~)=新聞の求人広告を見る。35歳までという文字が目に飛び込み、胸に突き刺さる。会社の中でも責任がグッと増す立場が近づく。親の老後に、自分の生活設計。「あーあ。こんなはずじゃなかったのになあ」。かつてモラトリアム世代と呼ばれた者にとって、30代後半という年齢は実にやっかいな「季節」だ。 「都会周辺に住むサラリーマンは特にですが、30代後半の息苦しさは日本のシステムの問題でしょう。この年ごろはさまざまな猶予が終わる時期。精神的にきついのに、これまで光が当てられませんでした。」 「30代前半まではただただ上り坂を上っている、という意識だった」と著者は言う。その向こうには青い空と白い雲。30代半ばになり、その風景が一変する。30代後半がとりたてて深刻だからではない。「後半生が決まった形で見えるような思いがしました。自分たちは長く夢を見すぎました」 さまざまにもがいたあと、転職という形で落着するのだが、その間のことを、この本にまとめた。著者の行動や思い、パートナーや友人の話がつづられるが、中でも興味深いのは著者とカウンセラーの対話の数々だ。 「人生の節目で、カウンセリングを受けながらものを考えるのが、これからは普通になってくるでしょう。その具体例になればと思って。まあ、『心の実用書』ですね」 ●週刊小説(久和ひとみ氏)評(2000年5月26日号)=子どもはつくるのか、家を買うのか、親が倒れたらどうする……? 40歳を前にして、「永遠の猶予」の中に生きていたはずの自分に、生活への固定を強いるいくつもの要素が一気に襲いかかり、憂鬱すらももたらす。著者はその心の危機を妻の手記を少々織り交ぜつつ公開している。 「永遠の少年」がある部分「大人になったふり」をして、現実へソフトランディングするすべを探っていく。 ●女性セブン評(2000年7月27日号)=現在40才の堀切さんは、30代後半に自分が陥った“うつ症状”や同世代の男女に聞いた悩みや不安を『「30代後半」という病気』で、本にまとめた。 30代前半では感じなかったことが、30代後半になると、現在の仕事、家、子供を持つべきかどうか……それまで考えてもみなかったこと、なおざりにしていたことが、結論を出す年齢になったと感じ、30代後半病に陥る。 大人になりたくない青年。40代を目前にして、その戸惑い、さらには不安、自らの本音をさらけ出した気持ちが、読み進むにつれ、私もそうだわ、と素直に共感できる。 ●週刊朝日評(2000年7月7日号)=読み終わったら、例えようもなくツラくなった。一方で、初対面で打ち解けられる人にまとめて何人も出会った気分にもなった。つらいのは、漠然とあった閉塞感を、文章の形で鮮やかに突きつけられたからである。同時に、ご同輩諸氏が少なからずいるとわかり、安堵した。 文中に登場する人しない人、都合30人のさまざまな“30代後半クライシス”が本書の底流をなしている。 文中「若いときは、現実は退屈だとしても、それは「仮の」ものだ。ところがいよいよ青年期が終わると、この世界の「リアル」と向き合わざるをえなくなる」という一節は胸を突く。 ●日刊ゲンダイ評(2000年4月20日)=人生に不安や焦りを感じたら読む本。 人生の折り返し点に立った人々が抱く不安や焦りを自らの体験とともに語るエッセー。 次々と容赦なくふりかかってくる現実的な諸問題に戸惑いながら、人生の下り坂を歩み始めた心のかっとうをつづる。 「やるべきことをやっていない」「人生の方針が定まっていない」という人生への焦りに、モラトリアム世代の多くの人が共感を覚えるに違いない。同年代の人々へのインタビューを交えながら、「年をとる」ことと真正面から向かい合った一冊。 ●週刊ダイヤモンド「井狩春男のこれは売れる!」評(2000年4月8日号)=書名がとてもイイ。新しいカンジがする。スキ間を埋めてくれるような内容である。 著者の名は、まだ知られていない。だから、内容のよさだけで勝負することになる。 同じ30代後半の読者を得るためには、“情報”しかない。出版社はあれこれ手をつくし、パブに専念しなければならない。ガンバレ!の95ポイント。 | |||
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