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シャーマンの弟子になった民族植物学者の話 【書評再録】 | ||||
●朝日新聞評(1999年10月24日)=本書は、南米アマゾンの先住民たちが治療のために現地の植物をどのように利用しているかを、アメリカ人である著者が研究してきた、その活動のまとめである。この調査のために著者は先住民の村に住み込み、そこの呪術医に弟子入りする。嫌われたり無理解にあったりしながら苦労を重ね、少しずつ秘伝を伝授してもらい、さらには、先住民自身の若い世代の人々にこの秘伝の継承をしてもらうよう、地道な活動を続けてきた。それは、異文化交流でも、民族植物学の研究でも、先住文化の保存でも、実に一流の仕事である。 アマゾンという現代の辺境における旅行記としても、異文化交流の記録としてもたいへんにおもしろい。これが成功した理由は、一にも二にも著者の人間的な温かさによるのだろう。南米の歴史や文化に関する造詣も深く、エピソードはどれもおもしろい。 ●東京新聞評(1999年11月14日)=民族植物学者の著者は、治療師でもあるシャーマンたちから「神々の植物」についての知恵の伝承を受け継ごうと、15年間にわたってアマゾン西北部に入り、伝統の儀式や祭礼にも参加を許される。 森に住む人々の生活や心情、神秘の能力への驚きを共感をこめて率直に描いており、熱帯雨林とそこに住む人々の存在の意味の重さを教えてくれる。 ●WWF評(2000年1/2号)=食べ物、狩猟、医術、呪術、さまざまな形で植物を用いることを知るインディオの知恵と、その文化を育む熱帯雨林の自然。それが、現代文明にとって、いかに重要な意味を持つものであるかが素晴らしい体験記を通して語られている。 ●中央公論評(2000年5月号)=アマゾンの密林の中を、シャーマンを求めて歩き回る若者がいる。彼は、熱帯雨林に住む人々が持つ、植物についての実践的で詳細な知識に魅せられており、それを余すところなく理解し、書き留めたいと願っている。薬になる数々の有用植物、クラーレと呼ばれる強力な毒のカクテル、儀式に使う幻覚剤、等々。しかし、植物の知識は、特に部族の秘密に直結しており、よそ者には簡単には開示されない。彼はスリナムのティリオ族を皮切りにコロンビア、ベネズエラなどアマゾン各地のシャーマンを繰り返し訪ね、「弟子入り」することで、やがて「秘密」を明らかにしていく……。 あらすじだけを読むと冒険小説だと思う人がいるかもしれない。実際はまぎれもないノンフィクションなのだが、小説的な想像力に満ちている。最初のページを開いた瞬間から、読者を遠い熱帯雨林に連れ去る不思議な力を発散しているのである。 昨今、熱帯雨林の保全は、「生物多様性の保全」という大づかみなキーワードを錦の御旗にして語られることが多い。そんな時、森に生きる原住民の存在はあまり議論の対象にならない。本書は、同じテーマを、あまり語られない森に生きる人々の視点から歌い上げるアナザーソング。そんな読み方ができる。 ●バーダー(Birder)評(2000年1月号)=全世界でベストセラーになった、植物、新薬開発、動物、人間たちをめぐる冒険旅行記。民族植物学を専攻する著者がシャーマンの使う神々の植物を研究するため、10年をかけて南米アマゾンのインディオと生活をともにする。しかし、熱帯雨林での生活は、汗や雨にびしょ濡れになり、巨大なワニから逃れ、吸血コウモリにかまれ……と毎日が冒険のようで目が離せない。 ●出版ニュース評(1999年11月上旬号)=まるで冒険物語を読むような感覚で読めてしまうところが実によい。 ●エコ・マガジン「ソトコト」評(2000年2月号)=民族植物学者のマーク・プロトキン博士が、10年間南米アマゾンの先住民とともに暮らし、シャーマンから植物の効用を学ぶドキュメンタリー。アマゾンの不思議な植物たちの威力が明らかになっていく。 | ||||
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