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「ただの虫」を無視しない農業

【読者の声】

●桑原 衛氏
埼玉県小川町で専業で農業をしています。
農家・林家仲間が中心となって、NPO法人小川町風土活用センターというもの作って、農家がエネルギーを含め、くらしを見つめる力を取り戻すための活動をしています。
その一つとして、バイオガス技術の紹介もしています。(バイオガスキャラバン)
桐谷圭治さんの新著『「ただの虫」を無視しない農業』、時間をたつのを忘れるほど感動して
読みました。
小川町は有機農業をしている人が20人ほどいます。
農薬・化学肥料を使わないということを農業の柱にしていますが、そのわりには虫・草、まわりの生き物に対する関心がほとんどないのに、いつももどかしさを覚えています。
出荷先が増え、生産量を増やす必要から皆必死で作付けを拡大している現状も、周りの生き物に深い観察を向けることを難しくしています。
私は元来、虫やで、蝶>食草>高山植物>登山>植物全体>森林>林業>農業という関心の広がりから農業を生業にした者なので、果たして有機農業が自然を守り、育てるのに役立っているのかと、大いに疑問を感じていました。
そんなわけで、乾いた土に水が染み入るように桐谷さんの思考の流れが良くわかりました。
私は、農業の定義を広げるための道具として、バイオマスエネルギーを使っていますが、その根っこには地域の自然を読み解く力を農家が取り返さなければ、という思いがあります。
桐谷さんの本には、農業と自然環境のかかわりを農家がどのように捉えたらいいのかが明確に示されています。
この視線は、農業がエネルギー・林業・地域社会などと、どのように新しい関係を作ってゆくかにそのままつながります。
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