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詩画集 日本が見える

【内容紹介】本書「まえがき」より


 戦後、沖縄は米軍の軍事統治下にあった。私は大阪に住みながら、ふるさとの風土と、状況をみつめた絵を描き、新川は統治者の締めつけのきつい沖縄にあって、「琉大文学」などに抵抗の姿勢を主題とした感受性の強い詩を書いていた。その二人が、大阪で顔をあわせた。しばらくして私たちは似顔絵ならぬ、『詩画集おきなわ』をつくった。

  古里に住めないぼくたちは/祖国の街角に立って/猛け猛けしい鷹になり/南の空を睨む

 新川の、その「序章」にたいして、私も彫った。大蛇に託した侵略者の黒さと、舞姫による静かな抵抗と、天上に輝く太陽によって祖国を表徴した版画を。
 限定300部の自費出版だった。ページ32、手摺版画4点貼付、頒価1000円也。だが、世に出たのは、売れたもの29、寄贈18、あわせて50部にもみたなかった。(幻の書と、よばれた所以である。)
あれから23年---。あちら、こちらで、その再刊を望む声を聞いた。
 古い作品は、見直してよい気持がするものではない。とくに、あの詩画集は、日本を「祖国」視するなど、思想的にも未熟さが目立って、お互い忸怩たる思いがあった。
「しかし、若さがもつ清新さもある。あの時代あっての、今日の新川、儀間ではないのか」と、郷土の大先輩である詩人の牧港篤三さんはじめ、多くの友人たちの勧めもあって、『詩画集おきなわ』は、ここに、再び陽の目をみることになった。と、いってもそれは復刻ではない。新川は、詩に手を入れたし、私も版画のいくつかを差し替えた。また、新沖縄文学21号(1971年)に掲載した2人の詩と版画も7篇加えて、2部構成とし、タイトルも『日本が見える』と改題、体裁を新たにしたのである。

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