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本が生まれるまで

【内容紹介】本書「あとがき」より


 私はいわば偶然に出版者になった。場合によっては植字工になったかも知れず、印刷工になったかも知れない。文字が好きだったからである。自分の職業と決めたからには、それをできるだけ満足のゆくものにしようと思った。
 松のことは松に習え、竹のことは竹に習えという。出版に関するものすべてから学んだ。学んではならぬものからは、とくに学んだ。上手の人から学び、下手な人からも学んだ。そのマイナスの理由を考えた。
 一つの職業のなかに「投げ込まれて」、無我夢中で、手足をバタバタさせて生きてきたわけであるが、その折々の判断の場合、展望力が必要とされた。それは、その時その時にはきわめて不充分だった。出版とは何だったのかという自問自答のあれこれを、今の時点でまとめたのが、これである。
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