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鼻はなにを語りたいのか 脳、顔と病気

【内容紹介】本書「はじめに」より


 鼻がどのような意味をもっており、私どもになにを知らせようとしているのかというようなことについて述べてみたいと思います。したがって鼻の存在するまでのプロセスが前著(「鼻はなぜあるのか」)で、その存在してきた鼻がヒトの中でまた人間社会の中でどんな意味をもっているのかを述べたのが、本書ということになると思います。
 本書の目次を一目見てもおわかりになりますように、鼻について主に述べようとするこの本に、脳や頭蓋の話、また性の話などがなぜ冒頭から出てくるのかと、不思議がられる方も必ずやあるに違いないと思いますので、これについて一言触れておきたいと思います。
 それは、人の鼻の成立してきたプロセスの中に、鼻の中の曲がりや歪みという矛盾した存在が認められ、その鼻のあり方が人類の進歩してきたあり方に似ているところがあり、進化の過程では嗅覚と性との関係が密接だからです。
 しかもその人類は地球で誕生し繁栄し、ついにその母なる地球を食い荒らし、その中に自らの滅亡を招くことが予想され始めているからです。
 その元凶はというと、頭蓋の中のヒトになってから出来た新しい脳によっているというわけですから、是非ともこの人類と鼻との関係を宿命的に結びつけて考えたくなり、その考えが合っているのかどうかについても述べてみたいと思いました。はたして思惑どおり、その脳を入れている頭蓋のために鼻はえらい目にあっているわけですから、なおさらであると思います。こういったようなことを少し深く掘り下げて述べてみたいと思います。
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