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出る杭になる NGOでメシを食う!

【内容紹介】本書「本文」より


 「代案提示型」の市民運動を展開していくうえで、その「代案」を生み出すには、ときに政治家、官僚を上回る専門性が求められるのは当然です。そして、この専門性を獲得するためには、十分な取材・研究活動に充てる費用、さらには専門知識と志を持った優れた人材を常に確保し続けていくための費用も必要となるのです。
 第二に「継続性」です。どんなに意義のある主張や活動であっても、それが継続できなければ、社会問題を解決し得る意味のある運動へとつながる確率がおのずと低くなってしまいます。手弁当ももちろんけっこうなのですが、「気が向いたときにする運動」にも限界があると思うのです。
 第三に「社会性」です。社会に求められる活動、つまり多くの市民の共感を得続けることができる運動でなければ、いずれは単なる反体制集団という見方をされてしまう。あるいは、好きな人たちが好きなときに集まって、好きなようにやっている趣味の会で終わってしまうことになるでしょう。
 では、どうすればこの専門性、継続性、社会性という三つの要素を持つことができるのか。坂本龍馬が海援隊を創ったときの、「財政の独立なくして思想の独立も、行動の自由もない」というコンセプトを、私は神戸生まれの関西人ですから、「メシの食える」というわかりやすい一言に凝縮して表現したのです。
 社会から必要とされなければ、メシは食えません。反対に、市民運動を通じてメシが食えるということは、その活動が社会から評価されている、必要とされている揺るがぬ証でもあるのです。好きなことをするのが市民運動ではない。大切なことをするのが市民運動。「意義あることは、君に任せた。私は意味のあることをしたい」。こう思い続けてきました。
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