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シルクロードでワインを造る

【内容紹介】本書「あとがき」より


 新疆は、中国の中で日本から一番遠く、シルクロードで知られていますが、そこには苛烈な気候、強烈な日差し、一直線に広がる砂漠、天にそびえるポプラ並木、古代の遺跡、豊富な果物と野菜、ラクダの放牧、草原に綿を散らしたような羊の大群、けわしい顔付でも素朴で親しめる人々、かつての日本の姿も発見できて郷愁を誘い、魅力に満ちたところですが、新興の意気に燃える国でもあります。
 テレビで紹介される画面は概して美しく見え、思わず「行ってみたい!」と思わせますが、現実は画面のようなわけにはいかず、まさに異郷の感を深めるところです。
 しかし滞在日数が増すにつれて異郷にもしだいに馴染み、筆者は楽しく過ごしてきました。現地にいると新疆ならでは味わえない事柄に遭遇し、驚いたり感心したり教えられたりもしました。また、彼らの逞しさにも脱帽したものでした。
 シルクロードの各地には、歴史の古いブドウ園や比較的新しいブドウ園も多く、ワインもたくさん造られています。ほんの少し手を加えれば、飛躍的に品質が向上すると思われるワイン造りも、設備、資材、生産体制にまだ多くの課題があり、一朝一夕に解決できるとは思えない現実もあります。
 シルクロードはなぜか心を引かれるところです。遠くて不便なところでも、住んでいる人達の中に入っていけば、自然に心と心の交流が温まってきます。本書は新疆の人達を素顔で引き出し、楽しく読めるように述べました。
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