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1000万人が反グローバリズムで
自給・自立できるわけ

スローライフ大国キューバ・リポート

著者……吉田太郎
3600円 
 四六判 600頁 2004年1月発行
ISBN4-8067-1277-9 C0036

トキ、ミミズ、玄米、カストロ、革命防衛委員会……

アメリカ主導のグローバリズムに真っ向から反旗を翻し、自給自立の道を突き進むカリブの小国キューバ。

生ゴミはミミズで堆肥化し、海洋汚染や飲料水は微生物で浄化する。原発と縁を切り、脱ダム宣言を行ない、湿地を保全し、沙漠に木を植え、生物多様性の保全と自然再生事業で雇用を確保する。脱石油文明&ピース。

もうひとつの世界は可能だ。斬新な持続可能国家戦略を柱に、官民あげて豊かなスロー・ライフを実現させた陽気なラテン人たちの姿を追った現地リポート第二弾!

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好評のキューバレポート第一弾『200万都市が有機野菜で自給できるわけ

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【主要目次】


第1章 スローな暮らしを送る南の島から

1 スローライフ大国・キューバ
 ■モノが溢れて貧しいというパラドックス
 ■スローライフに不可欠な国家ガバナンス
 ■持続可能な島国から見えてくる豊かなスローライフ
2 地球サミットから持続可能な開発へ
 ■リオ・サミットで最高評価を受けた小国
 ■憲法を改正し持続可能な国づくりをめざす
 ■二〇〇一年、世界環境デーのホスト国に
 ■経済崩壊の中での持続可能な社会づくり
 ■二一世紀の持続可能な社会のモデル

第二章 住民が住み続けられる山里づくり

1 野鳥さえずる山里〜ラス・テラサス
 ■山中のパラダイス、ラス・テラサス・コミュニティ
 ■コーヒープランテーション開発とその荒廃
 ■六○○万本の植林で「新しき村」を作る
 ■野生生物の宝庫ロザリオ山地
 ■ユネスコの生物圏保存地域に指定
 ■山里の暮らしと自然保護とを調和させる
 ■経済危機を契機にエコツーリズムを展開
 ■海外交流で地元に金を落とす

2 よみがえったカウト川----河川再生プロジェクトの女性たち
 ■五〇〇万本の植樹を達成した森林農場プロジェクト
 ■プロジェクトの中心を担った女性たち
 ■ヨハネスブルク・サミットで国連賞

3 沙漠化との戦い
 ■第六回国連沙漠化防止会議の開催国に
 ■動き出した沙漠化と干ばつ対処全国プログラム
 ■塩害と闘う荒野のソーラー・パネル農場
 ■サボテンが広がる沙漠地帯に森を作る
 ■生きるためにつくられたの三万ヘクタールの人工林
 ■三〇〇〇ヘクタールの塩害土壌を回復
 ■国連環境計画の沙漠化対抗プロジェクトで受賞

4 森を失ったコロンブスの楽園
 ■密林に覆われた島の発見
 ■住民の虐殺と伝統農法の消滅
 ■サトウキビの島への変貌
 ■アメリカ支配による森林破壊の加速

5 ゲリラたちの森林再生運動
 ■森林再生に乗りだした革命政権動
 ■管理を怠った植林運動
 ■土地条件を無視した強引な植林
 ■森林を破壊したソ連式大規模農地開発
 ■なんともチグハグな森林政策

6 経済危機で始まった林政改革
 ■エネルギーと木材を輸入して森林を増やす
 ■石油ショックで急増した薪需要
 ■全国森林行動計画を策定し、林政を再評価する
 ■伐採に大臣許可を要する新森林法の策定
 ■国家環境政策に森林マネジメントを位置づける
 ■山村住民と林業者が儲かるための資金援助

7 山人の暮らしに役立つ研究所と大学
 ■八〇年代から研究が進んだ林間放牧
 ■必要な伝統的な智慧の復活
 ■バイオマス利用の森づくり
 ■意識の高いキューバの学生たち
 ■持続可能な山村開発のための技術者養成
 ■自給有機農家の豊かな暮らし
 □コラム1・恐竜絶滅とキューバの葉巻

8 山林集落開発がうまくいくわけ
 ■山村地域の総合開発プロジェクト
 ■一般市民を巻き込んだ国民緑化運動
 ■人々が山で暮らしていける生活基盤を整える
 ■これ以上、人は入るべからず
 ■スローライフを満喫する山村の農家
 ■平地でも進む植林運動、サトウキビ農場での自然再生事業
 ■森林認証制度の導入へ

第三章 有機水田にトキが舞う

1 カリブの宝、サパタ湿地
 ■釧路湿原からはじまったラムサール条約への参加
 ■カリブ海最大の自然地域、野鳥の楽園
 ■革命後の再植林運動と自然保護が湿地を守る
 ■地元住民を参加させない自然保護行政の失敗
 ■住民参加で自然を守る自然保護への転換
 ■持続可能なペースで資源を使うことが自然を守る
 ■自然エネルギーを利用して住民の暮らしを高める
 ■カナダよりも四〇年は進んだ住民環境教育
 □コラム2:サパタのヤシ

2 有機水田を舞うトキたち
 ■野生動物の天国、ビラマス湿地
 ■野鳥と湿地と水田とのダイナミックな関係
 ■有機農業への転換で急増したトキ
 ■鳥害対策を超えて〜農民や学生への環境教育
 ■野鳥保護に水田が果たす役割の研究で国際賞を受賞
 ■トキ保全を通じて世界と交流をはじめたキューバ
 □コラム3:ラムサール湿地

3 マングローブとダムとの深い関係
 ■海洋生物のゆりかご
 ■地球温暖化防止と洪水予防に役立つマングローブ
 ■開発で失われたマングローブ
 ■環境を整えれば自然に回復するマングローブ
 ■換金作物生産のために国中にダムを作る
 ■国土を荒廃させたダムラッシュ
 ■ダム建設への反省と河川放水
 ■全国流域委員会による流域の一貫管理
 ■ダムから森への思想転換

4 利用することで水産資源を守る
 ■石油依存型遠洋漁船団とその崩壊
 ■漁業組合の創設による民営化と市場原理の導入
 ■乱獲防止と持続可能な水産業開発へ
 ■DNА分析とモニタリングでウミガメを調べる
 ■食の文化を守ることが資源保全につながる
 ■経済封鎖の一貫として貿易を禁じられたウミガメ

第四章 暮らしと密着したバイオ技術

1 微生物で石油汚染を防ぐ
 ■アメリカのタンカー事故で動いた世界の海洋汚染対策
 ■海洋研究の総本山〜海洋研究所
 ■二〇〇種以上の石油分解バクテリアを見つけだす
 ■一〇年間、各地の事故処理に成果をあげる
 ■環境保全に燃える若き研究者たち
 □コラム4:自然生態系を利用した浄化システム

2 緩速ろ過法でおいしい水を自宅でつくる
 ■全国民の九五パーセントに安全な水道水を供給
 ■経済危機で麻痺した水道システム
 ■緩速ろ過フィルターで水道水を浄化
 ■コミュニティを組織化する底力
 ■アンケート調査で実態を把握した上でフィルターを導入
 ■コミュニティ自らの手で水質を守る
 ■スローな水を飲むキューバとアメリカ流の効率技術を推進する日本

3 生ゴミはミミズで堆肥に
 ■生ゴミ減量にミミズを活用するアメリカ西海岸
 ■学校の環境教育で活躍するミミズたち
 ■工業的にミミズを大量生産するパイロット
 ■コミュニティ運動としてミミズで生ゴミを堆肥化
 ■食料危機の最中に普及したパーマカルチャー
 ■老人たちの生きがい運動
 ■コンクリート都市を緑に
 □コラム5・オンボロ自動車とエコデザイン

第五章 環境と調和した国づくりのしくみとは

1 公害を産んだ環境保護委員会と旧環境法
 ■環境保全委員会と環境法第三三条
 ■現実的な規制力を欠く環境法の限界
 ■不十分だった環境保全委員会の権限
 ■遅れたソ連の技術が引き起こした公害問題
 ■経済危機がもたらした明暗の劇的変化

2 科学技術環境省の設立と環境法の制定
 ■科学技術環境省の誕生
 ■トップダウンで命ぜられた持続可能な開発
 ■国家環境戦略の策定
 ■開発か環境か?環境法制定をめぐる交渉
 ■環境法で明記された環境保全手法

3 環境アセスメントと土地利用計画
 ■アメリカが先陣を切ってはじめた環境アセスメント
 ■環境アセスメントで不可欠な代替案
 ■アメリカよりも実施効力のあるキューバの環境アセス
 ■戦略的環境アセスを可能とする土地利用計画
 ■すべての土地利用で環境に配慮する
 ■必要な土地利用計画との連携強化

4 リゾート開発の失敗から海岸保全へ
 ■危機に瀕する世界の海岸
 ■海岸線の約半分が人工化した日本
 ■観光否定から観光リゾート立国へ
 ■島を結ぶ石の舗装道路
 ■生態系バランス崩れて大量の生物が死滅
 ■海岸の自然環境を守る海岸法
 ■セットバックによる観光開発規制
 ■小離島や岩礁の保護とエコツーリズムへ
 □コラム6:サバナ・カマグェイ群島

5 生物多様性の保全する国立公園ネットワーク
 ■豊かな生物多様性
 ■保護地域を指定し、絶滅危惧種を守る
 ■全国保護地域ネットワークの形成
 ■不十分だった自然保護
 ■生物多様性保護のための国家戦略と行動計画
 ■生物種のリストアップと保護種指定
 ■絶滅危惧種を回復するためのしくみ
 ■世界の先端をいく生態系そのものの保全規定
 ■ゾーニングを持った自然公園管理
 ■自然公園管理のためのエコツーリズム
 □コラム7:キューバのワニ

6 環境教育と革命防衛委員会
 ■開発優先の政治を変える鍵となる市民参加
 ■市民参加と情報公開については未熟なキューバ
 ■進んだ科学教育と遅れた環境教育というアンバランス
 ■専門分化していた科学技術
 ■環境教育に力を注いで国連賞を受賞
 ■高まる市民の環境意識
 ■活発化する市民NPО活動の波
 ■最大のエコロジー団体、革命防衛委員会
 ■NPО市民社会は本当に環境に優しいか
□コラム8:キューバのメーデー

第六章 スローでファジーな国家ガバナンス

1 反グローバリズムの胎動---ポルト・アルグレからハバナへ
 ■世界食料サミットのスター、カストロ
 ■グローバル化に反対をはじめた市民たち
 ■世界初の市民手づくりの国際食料サミット
 ■グローバル化を痛烈に批判するハバナ食料主権宣言
 ■小規模な農家や漁師を守ることが食料確保につながる
 ■食文化の多様性と有機農業、もう一つの世界は可能だ
 ■カストロの閉会発言〜飢餓なき世界は可能だ
 ■遺伝子組み換え農産物の推進をうたった第二回食料サミット
□コラム9・キューバ流・玄米菜食

2 反グローバルから地域自給へと向かう途上国
 ■相次ぐ中南米での左翼政権の誕生
 ■キューバのオルガノポニコが導入されたベネズエラ
 ■近代農業の崩壊で三〇〇万人が餓死した北朝鮮
 ■国際平和秩序にも寄与するキューバの有機農業
 ■「足るを知る」経済を推進するタイ
 ■ヨハネスブルク・地球サミットで孤軍奮闘したキューバ
 ■批判されるカジノ経済

3 自然と調和していた江戸のガバナンス
 ■グローバル貿易経済国から鎖国した日本
 ■革命家、朱元璋が夢見た自給自足国家
 ■史上初のグローバリゼーションの引き起こした弊害
 ■国土復元のための大植林運動
 ■里山と杉山の原風景の誕生
 ■山林資源をコミュニティで管理する
 ■わざと堤防を切ることで人馬を守った伝統治水
 ■山林と一体のものとして海洋資源を管理する
 ■江戸の優れた海洋資源マネジメント
 ■野生生物と共生していた江戸
 ■自立コミュニティ「ムラ」
 ■搾取と飢餓にあえぐ江戸時代のイメージは正しいか
 ■スローライフを満喫していた江戸の農民たち
 □コラム10:子どもを大切にする国

4 エピローグ・職人国家を超えて
 ■技術職人大国の限界
 ■ソ連文化からの自立がベースにあったキューバの改革
 ■カストロの見る夢

あとがき
参考文献

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