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田園の食卓 【書評再録】 | |||
●キリスト新聞評=私たちは今、グルメ・ブームに酔いしれて高価な輸入品を並べた食卓を喜んでいるが、本当の食物はそういうものではない。著者は長く信州に住んで、自ら耕して食物を作り、山野に自然の恵みの山菜、きのこを探し求め、自ら調理した経験がある。その自耕者の立場からの文明論的なユニークな食物談義はいきいきとしていて興味深い。 著者は何よりもまず食物を愛している。旅行に行っても名所よりも先に市場に行く。その土地の産物と知己になるためである。また季節の食物を尊むということも、自耕者的感覚である。かねがね、食卓に季節感がなくなったことを寂しく思っていた私はこの原因を教えられて感謝した。 色とりどりの豊かな食物が季節の移り変わりとともに登場し、特に土離れした都会人になつかしい土の香りを運んでくれるのも愉しい。大変教えられるところの多い楽しいエッセイであった。 ●キリスト新聞評(1992年9月26日)=「羊飼の食卓」「草上の午餐」に続く食卓シリーズの完結編。都会の不自然な食生活を見直す。 | |||
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