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猿まわし千年の旅

【書評再録】


●アニマ評(1992年1月号)=千年におよぶ歴史をもちながら、一時は消えかかった猿まわし芸。「周防猿まわしの会」の初代会長として、山口県の高州で猿まわし芸を発掘し、復活させた著者が、猿まわしのルーツから、戦前、戦後の歩みを古老からの聞き取りに自身の体験を交えて綴っていく。
猿まわしの復活を軸に、社会の底辺におかれてきた未解放部落の人びとのたくましさをあたたかく、生き生きと描き出した好著である。

●学鐙評(1991年11月号)=猿まわし芸には千年の歴史があるという。もともと猿は神の使徒として馬の守護をしたといわれ、日本猿を調教した芸は、厩のお祓いにはじまっている。本書は2年前に他界した著者(周防猿まわしの会の初代会長)の子息が新たに刊行したものでその旅の記録がおもしろい。山口県周防には「上下ゆき」という旅があって、女たちの髪油行商があり、そのあとについて猿まわしも旅に出たとある。そこに生きのびた「幻の芸能」を描いているが、それは中世以来の日本の裏面史でもある。

●日刊ゲンダイ評(1991年10月30日)=千年におよぶ歴史をもつという猿まわし芸のルーツを辿り、猿まわしの里と猿まわしたちの苦難に満ちた旅を活写した迫真のドキュメント。

●赤旗評(1992年2月3日)=遊芸の民を先祖にもつ極貧の一部落を拠点に、関東、関西、九州一帯に「上下ゆき」(猿まわしの旅ゆき)がおこなわれていた歴史を掘り起こし、戦後、高度成長の波とともにすたれた移りゆきをたどり、復興のドラマを描いています。
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