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環境の経済評価テクニック アジアにおけるケーススタディ 【書評再録】 | |||
●世界経営協議会評(1994年1月号)=先進国・途上国を問わず、経済開発は不幸にして生態系や環境を守るに十分な配慮を欠く場合があった。しかし、環境の破壊は開発の目的である人々の福祉向上そのものの達成にマイナスであることが広く認識される時代になった。 本著は、開発プロジェクトにおける環境影響を経済分析・評価に取り込むためのさまざまなアプローチを提供するものである。また、二部構成のPART2においては、アジア太平洋地域のさまざまな開発プロジェクトのケース・スタディがなされ、経済評価の実践例が挙げられている。 ●WWF(世界自然保護基金)評(1994年3月号)=アジアの既存の開発プロジェクトが与えた影響を、さまざまな手法を用いて経済的に評価したケーススタディ集である。 ●農林水産図書資料月報評(1994年2月号)=環境的側面を開発プロジェクトの経済評価に取り込むための方法論を具体的事例に即してわかりやすく解説した好著であり、まことに時宜にかなったものである。もちろん、プロジェクト実施の可否は、経済分析だけでなく、社会的、文化的、政治的といった非経済的観点からの考察との総合的判断に委ねられるのが常であるが、経済分析の結果は理解しやすく、意思決定の十分条件ではないにしろ必要条件であるという著者の主張はうなずける。 本書は、研究途上のこの分野の概況をわかりやすく紹介しているだけでなく、今後の研究方向がいずこにあるかを考えさせてくれる点でも勧められる。 ●土木学会誌評(1994年2月号)=実用のために編纂されたケーススタディ集である。ただし、評価手法は確定したものとは捉えてはおらず、個々のプロジェクトごとに妥当と考えられる手法を紹介している。題材は、東・東南アジア諸国に求められ、日本からは華山・佐野のデータに基づいて東京湾岸開発による漁業資源の減少を、生産高の減少から評価する/漁業補償から評価する、という2つの手法が紹介されている。このケースに関し、社会状況全般の把握は適切に行われており、本書の信頼度の高さを窺わせる。 | |||
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