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環境の経済評価テクニック アジアにおけるケーススタディ

【内容紹介】本書「はじめに」より


 このケーススタディ集は東西文化センター(East-West Center, ハワイ州ホノルル市)、環境政策研究所(Environment and Policy Institute,EAPI)において1979年から実施した国際的研究活動の成果である。米国議会で決議された「国際関係の改善と国際的理解の促進」の方針に基づき、東西文化センターは米国はもとよりアジア太平洋の国々からの専門家、実務家が集まり共通の課題を解決する場を提供しており、自然資源の経済開発や科学技術がもたらす環境影響の評価といった分野においても十分な協力研究体制を形成している。
 1980年から1981年にかけて、既存の開発プロジェクトがもたらした環境や生態系への影響を経済評価するためいろいろな手法を使ってのケース・スタディが実施された。ケース・スタディにかかわったのは、対象となったプロジェクトがおこなわれた国の出身者か、またはそのプロジェクトに強い関心を抱いている者たちであった。
 そして、1982年のはじめに、実際の研修コースに使うためのケース・スタディ・テキストを作成した。このケース・スタディ集は、評価アプローチが実際にはどのように使われるかを示したものである。
 これらの教材は高い関心をもって迎え入れられ、EAPIと各国政府あるいは国際開発機関の共催で数多くの研修ワークショップが開かれてきた。この中にはフィリピン、タイおよび韓国、ホノルル市および中国、およびスリランカで1〜2週間にわたって実施された研修も含まれている。これらの研修を通じ、それぞれの事例について修正・改善がなされ、重要なポイントを明確にするため新しい教材も追加されてきた。本書中のケース・スタディは、オーストラリア、中国、日本、韓国、ニュージーランド、フィリピン、タイ、および米国の16名の専門家によって準備されたものであり、いくつかの評価手法を実際に応用した事例集である。
 この新しいアプローチは各国において採用されはじめたばかりであるが、プロジェクト・サイクルにおける立案あるいはプリ・フィージビリティ・スタディ段階から経済的外部効果を内部化することは、環境への悪影響を防止したり、各国が保有する再生可能な自然資源のより効果的、持続的な開発手段を明らかにするために役立つであろう。
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