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よみがえれ生命の水 地下水をめぐる住民運動25年の記録

【書評再録】


●朝日新聞評(2000年10月22日)=経済効率を優先して上水道を建設し、地下水環境を悪化させた行政に対し、保全活動をすすめる会の活動を詳述。

●日本農業新聞評(2000年10月2日)=水環境シンポジウムを、観光PRとしか考えない行政の長、名水百選に選ばれたわき水を飲み水に使っている住民の「安全にいつまでも」という要望に、「安全でなければ、上水道が普及する」とでもいいたげな、不誠実な行政の姿が垣間見える。
それにしても、地域の大切な水を守ろうとする情熱はすごい。生活に根ざしたその手法は、学ぶべき多くのものがあり、全国の運動に勇気を与えてくれそうだ。

●山科鳥研News評(2000年10月号)=日本海地方は豪雪地帯。冬季は大雪のため日常生活が大変厳しいが、大野市もその例外ではない。1967年に雪国特有の地下水融雪装置を設置し、作動させたところ、夏季に各所に井戸枯れが発生し市民生活を苦しめた。この問題に端を発し、主婦の視点で大野の水問題に疑問を感じた主著者の野田佳江さんは「地に足のついた、それこそ日常的な、ご自宅までフィールドにした現場主義の調査・研究」を積み上げ、大野の水を守る活動を25年間続けてこられた。
この本はこの間の活動をまとめ、同会の会員の意見も収められている。同会の活動の歴史そのものが、本の章立てになっており、興味深く読み終えることができた。また、この本は水問題のみならず公共事業と自然環境問題を考える上で、多くの議論を巻き起こすに違いないだろう。

●日本地質学会News評(2000年10月号)=盆地に生きる一主婦とその仲間「福井県大野の水を考える会」が、水文地質学や環境問題の専門家の協力も得て、地下水に焦点を合わせながら進めてきた、25年余にわたる住民運動の苦闘の記録である。
100年先を展望した水政策を求める「会」は、地下水保全に焦点を当てた「いのちの水を守るための具体的提案」を発表している。
大野盆地は天然記念物のイトヨの里。『大氷河時代』をも生き抜いて、『降海型→湖沼型→湧水河川型』へと進化してきたと言われるイトヨ達の、巣づくりの姿がいつまでも見られるように、「会」の奮闘は今も続いている。

●地団研そくほう評(2000年11月1日号)=大野の水を考える会の25年間の活動記録をレポートしたものである。
このレポートは、一地方都市の水問題にも日本の行政の体質が凝縮して現れていることを暴き出しており、各地で似たような問題に直面している人たちにも大きな指針を与えてくれるものと思われる。

●日本の科学者(日本科学者会議 編集・発行)2002年3月号でも紹介されました。
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