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意釈 黄帝内経運気 【内容紹介】本書「まえがき」より | |||
本書は、「黄帝内経」として伝えられる「素問」の中で、特に「運気篇」とよばれている第66篇から74篇までを意釈したものである。 この「運気篇」は、唐の王氷が、その時代、すでに散逸していた「素問」を集めて再び編集したとき、他書からとってここに入れたものであるとの説があって、一部では批判しているむきもあるが、真実はそれに近いように思われる。実際は、漢の張仲景の「傷寒雑病論」の序文にある「陰陽大論」が、そのもとになっているのかもしれない。またその他に、現在ではすでに失われている「大要」「脈要」「内経」などからも引用して編集したのではないかと思われる。各篇中の論議に若干の矛盾があるように見えるのは、そのためであろう。 一般には、「運気論」という名前の本がよく知られている。しかし、「運気論」は、宋の劉温舒が、「素問」の「運気篇」にもとづいて編集した別の本のことである。従って、本書にいう「運気篇」とは同一のものではないので、混同しないよう、注意が必要である。 運気というのは、五運・六気のことであって、天気の変化を5年・6年・10年・12年・30年・60年のリズムで統計をとり、規律をみつけたものである。この天気の変化によって、森羅万象がことごとく影響を受ける、その状況をまとめあげたもので、その中でも特に、人体に引き起こす疾病とその治療法を詳述してある。現在、医学界では精神医学・気象医学や、生体内リズムなどの新しい分野が開かれているが、古代中国の医学では、すでにこのような観点からの見解が本書にみられる。 この五運・六気の説は、これまで、日常の臨床に役だたないとはじめから相手にしない人が多いようであるが、この壮大な理論を応用できるかどうかは、読む者の理解と心がまえにあるのではないだろうか。 もっとも、ここに説かれている理論は、中国の古代で、今から2000年以上も昔の話であるから、これを現代に応用するには、若干の修正が必要であろう。しかし、それはともかくとして、このような説を荒唐無稽と頭からきめつけるよりは、新しい見解のもとに研究してみるのもまた、楽しいことではないかと考えるのである。 | |||
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