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足・腰・肩の痛みを断つ健骨法

【内容紹介】本書「まえがき」より


 あなたは自分のからだの健康を考えるとき、「骨」について意識したことがありますか?
 年に何回か健康診断を受けても、チェックの内容は内臓器官が中心で、消化器について、肝臓や心臓について、あるいは心身症について、心配したり考えたりすることはあっても、改まって「骨」を考えたことはないでしょう。
 そこが問題です。
 現代社会は、精神と肉体のアンバランスの時代といいます。厳しい企業戦線はいうまでもありませんが、それが家庭の主婦や子どもにまでおよび、精神的なストレスと肉体的なひずみが日常生活のすみずみまで浸透しています。病や健康を考えるとき、このことを抜きに語ることはできません。これが現代人の病の原因だとすれば、「心身一如」の健康は、社会の仕組みを変えない限り根本的な解決はないのかもしれません。
 しかし、社会的な矛盾によって分離されようとしている「精神と肉体」も、もともとはあなた自身のものです。まずは、自分のからだは自分で考え、自分で管理する---それが基本です。
 一方、豊かな社会では、働くこと、からだを動かすことがめっきり少なくなりました。せっせと便利な機械や器具を取り入れた結果、からだを使う、汗水を流す労働などほとんどみられなくなり、肉体にあたえる抵抗はますます減少しています。そのため、ごくあたりまえな「歩く」といった行動のときですら「からだが重く感ずる」ようになってしまった---地球の重力が負担になってきている---これもまた現代人の特徴です。
 では、無重力状態になったらどうなるか?
 無重力状態で長期間過ごした宇宙飛行士が地上に帰ったとき、からだに、立っていられないほどの負担感を覚えるということです。それは、骨のなかのカルシウムが急激に減少し、骨がもろくなるからです。できた骨は、固形物としてそのままの状態でいるのではありません。一定の形をしているようにみえる骨も、ある部分では日々新しくつくられている一方で、旧い骨は吸収されて、入れ替わっています。しかも血液成分の恒常性を保つためのカルシウムの供給は、骨が補っているのです。この骨の造成には、つねに骨に力が加わっていなければなりません。
 このように、無重力の体験は、必要成分の補給だけでは骨の造成ができないことを証明しています。このことをどう考えたらよいのでしょうか。
 進歩した医学によって、内臓の不調や障害は取り除くことができても、足腰が丈夫でなければ、日常生活の質の向上は望めません。「骨」は20代後半から着実に老化していきます。骨の老化は治療で防ぐことはできません。重力が負担になるほどダメになった足腰は、あなた自身の意志で復元する以外にないのです。骨は生きている---このことを考えてほしいのです。
 昔から、よく「病はからだのゆがみから」といわれています。それは代謝機能が活発にはたらくためには、からだを支えている骨組みがちゃんとしていなければいけないという意味です。骨格は姿勢の基本です。人間の手足の動きやからだの移動の基本となるものです。
 からだの不調の多くは「痛み」からはじまりますが、なかでも病気とはいえない骨組みの変形や老化によるものが増加しています。「痛み」はからだの不調の訴えです。まずはそこから考え、その原因を確かめ、さらに「からだ全体の仕組み」との関係を吟味する---これが本書のねらいです。
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