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胎児化の話 【内容紹介】本書「まえがき」より | |||
進化論の始祖といわれるイギリスのチャールズ・ダーウィンが、「種の起源」を発表してから、人間は大昔に類人猿の仲間から進化してうまれてきた、と考えられるようになってきました。 つまり、人間はいまから何百万年かのむかし、いまでは死に絶えて、その姿を見ることのできない類人猿を本家とし、その分家として血統が枝分かれしてきた、というわけです。 ところが、このような人間の進化説に対して、人間は類人猿の分家ではなく、本家の類人猿のませた(早熟な)子どもだ、という進化説が、ひそかなブームになってきているのです。 このような人間の進化説は、古くからあって、その名を「胎児化説」とよんでいます。 この説によりますと、人間は大むかしの類人猿(本家)から枝わかれした、ほかの類人猿の一族(分家)が、しだいしだいに進化してうまれてきたのではない、ということになります。そして、大むかしの類人猿---ひょっとすると、チンパンジーのようないまもなお生きている類人猿---の胎児、または幼児が、そのまま成熟した結果うまれてきた、と主張しているのです。 つまり、類人猿の胎児、または幼児が、その段階で体の生長はとまり、生殖機能だけが大人(成体)の段階にまではったつした結果、人間がうまれてきた(出現した)、と説く進化説なのです。 胎児化説は、一昔前日本でも話題をよんだ、ポルトマンの本の中でも取り上げられていますので、ご承知の方も多いかと思います。そして、胎児化説は、いまでは内容も拡充されて「ネオテニー説(幼形成熟説、または幼態成熟説)」とよばれ、専門の科学者にも信奉者を広めているありさまです。 もし、このような説が正しいとすると、みなさんのお子さん、あるいは弟さん・妹さんが、小学生か中学生の年ごろまでに体の生長がとまり、その段階で生殖器や生殖機能だけが大人並に発達すると、人間には新たな進化がおこり、みなさんのお子さん・弟さん・妹さんは、まさに新人類いな未来人になる、ということになります。 私はこの本で、この胎児化説が科学的に正しいか否かを考え、そして、どうしてこのような人間の進化説が生まれてきたのか、その背景もさぐっていきたいと思います。 | |||
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