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子どもとのコミュニケーションスキル 【内容紹介】●本書「はじめに」より | |||
話さなくてもわかり合えるというのは誤りです。わかった、とお互いに勝手に錯覚しているだけなのです。わかったつもりで放っておくと後でたいへんなことになるといった経験は、あなたにもあるでしょう。
私たちが自分の生活を語ることは、同じように生活をしていてもそれぞれに違いがあることを知り、またお互いの違いを認め合い、そこから人と人との関係が生まれてくることにつながります。 日本語はコミュニケーションの成り立たない言語で、日本人はコミュニケーションができないのかというと、そんなことはありません。 コミュニケーション・スキルは本能ではなく意識活動なのですから、トレーニングすることが可能で、トレーニングさえすればコミュニケーション・スキルは誰にでも身につくのです。 しかし、トレーニングのためには、まず、コミュニケーション・スキルの情報が必要で、そのためにも、コミュニケーション・スキルの本を著したいとずっと思っていました。 特に今回は、「子どもとのコミュニケーション」に焦点を当てることにしました。 それは、ふだん接している多くの親や学校の教師たちから、子どもとどうかかわったらよいかわからない、という悩みをたびたび聞いていたからです。 1990年代に入って、日本の子どもたちが変わった、わからなくなったという声をよく聞きます。子どもが変わったのではなく、価値観が多様化し、社会全体の変化が子どもの世界にも影響しているということでしょう。 今の子どもたちを理解するには、「子どもは子どもらしくあらねばならない」という鋳型にはめることなく、子どもの心の動きや行動をあるがままに見ることだと思います。 親や教師は子どもがわからなくなったら、率直に子どもに質問することです。わからないから教えてと、子どもとコミュニケーションをとればいいのです。コミュニケーション・スキルを大人がまず身につけて、子どもの話を能動的に聴くことです。子どもが自分にとって大切な話を大人にできないとしたら、それは100%、聴く側の大人の問題です。 大人がよい聴き手にならないかぎり、子どもはよい話し手にはなれません。子どもはよい聴き手を得ることで、よい話し手になれるばかりではなく、よい聴き手の手本も得ることになるのです。 そうすれば、子どもどうしの暴力もなくなるでしょう。暴力とは感情の爆発であり、コミュニケーションの成り立たない場合に起こりやすいのですから。 | |||
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