トップページへ

おいしい水のつくり方
生物浄化法−−飲んでおいしい水道水復活のキリフダ技術


中本信忠(信州大学教授/応用生物学)[著]

2000円+税 A5判 192頁 2005年8月発行 ISBN4-8067-1315-5

いつから私たちは、水道水をあきらめ、ガソリンよりも高いミネラルウォーターを買い求めるようになったのか……
なぜ水道水は飲料水としての信頼を失ってしまったのか……

安くておいしい水道水ができないのは、水道原水の汚染が原因ではなく、これまでの物理的水処理の方法に問題があったからだった。
ヨーロッパで200年、日本の水道事業でも100年以上の実績を持つ「生物浄化法」を使えば、おいしく、安全な水道水が、これまで以上に安くつくれるのだ。
安全な飲み水に困る途上国でも、「生物浄化法」を使えば、村人たちが、自分たちで水道施設を建設、維持管理できる。

本書では、「生物浄化法」の第一人者である著者が、90章にわたって、この水道水復活の切り札技術をていねいに解説する。

書評再録 読者の声
【主要目次】

1 塩素臭い水道水は信用されていない
2 おいしい水道水の研究のきっかけ
3 「ゆっくりの砂ろ過」では説明できない細菌除去
4 緩速ろ過法は生物浄化法:新しい名前を
5 新しい名前、新しい考え
6 調査研究協力依頼、お抱え学者になりたくなかった
7 上田市は、大正12(1923)年から英国式を採用した
8 生物浄化法(緩速ろ過処理)の面積効率は良い
9 薬品処理の急速ろ過処理は面積効率が良くない
10 コマーシャルフィルターとナチュラルフィルター
11 生物浄化法における藻類の役割の認識
12 高崎の水は日本一おいしい水
13 安全な水はどこにあるのか
14 安全で清澄な水をつくる工夫
15 公共水道事業の始まりと繊維産業
16 公共水道の起源と砂ろ過
17 ジェームズ・シンプソンが完成させた緩速ろ過処理
18 シンプソンが採用したのは上から下へのゆっくりろ過方法
19 テムズ川は下水で汚れてどうしようもなかった
20 テムズ川の汚れを透明度で証明
21 酸素不足の水には酸素を付与する工夫
22 ゆっくり砂ろ過で病原菌が除けていた
23 水1pに一般細菌数100以下なら安全
24 緩速ろ過処理は物理ろ過でなく生物が関与していると認識された
25 河原で湧いている水は清澄
26 砂の大きさ
24 上から下へ常にゆっくり流れているのがポイント
28 均一な砂面と下方への一定の流れが重要
29 緩速ろ過池と藻
30 ゆっくりの流れのあるところでは糸状の藻
31 ろ過池の藻が酸素豊富な環境にする
32 気泡中の酸素はどれくらい
33 藻類被膜採取道具の完成
34 剥離面にはすぐに気泡が生じる
35 藻類被膜の発達とろ過水濁度
36 緩速ろ過池の生態系
37 生物浄化法での注目すべき藻類の役割
38 藻の繁殖で軟水化が起こる
39 ろ過閉塞と損失水頭
40 ろ過池の藻が悪いと誤解
41 生物処理を理解していない日本のリーダー
42 越流管を塞いで、戻せない東京都水道局
43 藻類が繁殖し越流管から流出すると酸素豊富な環境になる
44 気泡の酸素分圧は高い
45 越流管が機能しないろ過池での酸素濃度変化
46 ろ過池をカバーしたら
47 ろ過速度と酸素の日変化
48 藻が繁殖するろ過池と藻が繁殖しにくいろ過池
49 夏に藻が繁殖しにくいろ過池
50 生物の大きさと餌の大きさ
51 動物の糞塊とゆっくりろ過の意味
52 藻の発達と水深
53 浅くしたろ過池
54 水深が浅ければ浅いほど藻が良く発達する
55 冬期のろ過池の凍結対策で覆い緩速ろ過池
56 削り取り作業
57 生物が繁殖するろ過池では、濁りは砂層に入りにくい
58 ゆっくりの流れであらゆる生物が活躍する
59 ろ過池が緑色の藻でいっぱいになる
60 緑藻を食べる動物
61 ろ過池には貝類もでてくる
62 緩速ろ過池には鳥がくる
63 生物の立場になって理解を
64 かき混ぜる急速ろ過は生物が活躍できない
65 塩素臭い水道は、米軍が強制した
66 水泳選手は茶髪になる、金魚が死ぬ水を飲んでいる
67 ヨーロッパでは「塩素は毒」が常識、塩素臭くない水道
68 「塩素は毒」と水道界のリーダーが言い出した
69 ベトナムで見たろ過器
70 インドネシアの住民のために安全な水を
71 バングラデシュに生物浄化法の施設が完成
72 上向き粗ろ過は維持管理が楽
73 アフリカのナイジェリアにも施設ができた
74 緩速ろ過(生物浄化)なら建設費は安くできる
75 土地代は安い、施設の面積効率は良い
76 伏流水は自然の緩速ろ過
77 緩速ろ過(生物浄化)処理をしていたら必要なかった膜処理
78 緩速ろ過(生物浄化)処理ならクリプト原虫は問題にならない
79 生物浄化法(緩速ろ過処理)は基本的にろ過池しか必要ない
80 繁殖し、浮いてくる藻は大量
81 浮いてくる藻を収穫すれば、水中から栄養塩を除ける
82 越流管を可動式にした
83 自分たちで緩速ろ過の施設をつくる
84 塩素臭い水道水を飲ませたくない
85 風呂桶でも飲める水ができる
86 用水の水さえあれば簡単
87 自分たちで生物浄化装置を工夫しよう
88 自分たちで工夫して小規模水道をつくりたい
89 検出限界と生物
90 生物浄化ならアオコの毒もクリプトも関係ない
91 無菌の料理はない。生物の能力を信じよう
92 参考書
あとがき