メディシン・クエスト 著者……マーク・プロトキン
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訳者……屋代通子
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2400円 四六判 296頁 2002年5月発行
ISBN4-8067-1244-2 C0040
ヒルの唾液から抗凝血剤、サソリ毒から制癌剤、 カエルの皮膚からモルヒネにかわる鎮痛剤……
母なる自然は35億年以上もの間に、途方もない化合物を生み出してきた。
むせかえる熱帯雨林、ほの暗い深海、極北の凍てつく荒野……
世界を舞台に繰り広げられる、新薬発見のあくなき探求の旅と古代エジプトから現代アマゾンのシャーマンまでの伝統的な動植物の利用から発見・開発された新薬の歴史とアメリカの著名な民族植物学者が鮮やかに描き出す。
例えば・・(知っていますか?)
- カエルの皮膚-----エピバチジン------鎮痛剤(ABT-594)
- カエル----------セルレイン--------降圧剤
- カエル----------バトラコトキシン---局所麻酔・痙攣抑制・不整脈の抑制
- サソリ毒-------------------------制癌剤
- イモガイ--------ジコノチド--------鎮痛剤
- アリ----------------------------関節炎
- トラコジラミの血--抗菌物質---------ものもらい・化膿止め
- ツチハンミョウ科の甲虫(ゲンセイ)---カンタリジン----催淫剤
- ヒルの唾液-------ヒルディン--------抗凝血剤
- ハララカアメリカハブ---------------血圧低下剤(カプトプリル)
- カーペットバイパー---ティロフィバン--心臓発作・不安定狭心症
- アメリカマムシ----コントートロスタティン----制ガン剤
- 珊瑚-------------エルーセロビン-----抗癌物質
- クローバー--------ディクマロール-----抗凝血剤
- 熱帯のデイジー(アスピリア)----チアルブリン-----抗生物質・殺菌剤・駆虫剤
糖尿病、エイズ、ガン、結核……
難病に有効な新薬を発見・開発する競争が、
世界のすみずみを舞台に、今まさに繰り広げられている。
ヘビ毒、イモガイ、カエルの皮膚といった天然の産物と先住民の叡智、そしてバイオテクノロジーという一見相反する両者の調和に光をあて、それらが実験室において、すでにどれだけ驚くべき新薬への手がかりを示しているかを丹念に紐解いていく。
本書はまた、壮大な歴史ドラマでもある。
薬草を求めて異国を旅した古代エジプト人や19世紀のアスピリンの開発まで、
時を自在に駆けめぐり、何世紀にもわたって続けられてきた治療薬探求の背景を噛み砕く。近代薬物産業の夜明けを告げたのは一枚の柳の樹皮であり、カビから抽出されたペニシリンが、第二次世界大戦の命運を決したのだった。
薬物学、エコロジー、民族植物学、歴史、探検の綾なす新薬発見のあくなき探求の旅を壮大なスケールで描き出す。
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