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女の部下を叱れない 男の我慢 女の不満 【書評再録】 | |||
●朝日新聞家庭欄(1995年9月23日)=都庁で労働相談を長年手がけた著者が、女性の社会進出で戸惑う男性と「男社会」の壁にいらだつ女性の心理を描いた。相談で接した職場のセクシュアル・ハラスメントの豊富な事例がもとになっている。 性別にかかわらず、自分らしい生き方を。この本の一貫した提言だ。 ●日本経済新聞評(1996年1月20日)=著者は東京都労働経済局に勤務。長く、労働相談窓口で働いた。就職セクハラ、海外転勤など様々な事例から、法の理念と職場の実態とのギャップを冷静かつ克明に描き出す。背後には男らしさ・女らしさへの戸惑いが見え隠れする。働こうとする女性から男性上司まで、様々な人に参考になる。 ●北海道新聞評(1995年10月19日)=上司のセクハラに悩む女たち、部下の女性社員を叱れない男たち。そんなギクシャクした当世の職場事情を、東京都のベテラン労働相談員がまとめた。新しいパートナーシップをさぐっていくための他山の石としたい一冊。 ●東京新聞評=これから男社会でなにがしかの仕事をしようと燃えている女たちには、ちょっとした入門書になるかもしれない。 ●読書人評(1995年11月17日)=「男性たちは、三つのパターンの女性しか知らないという言い方がある。第一のパターンは言うまでもなく妻である。そして、第二のパターンは娘である。そして、第三のパターンは行きつけの飲み屋のおかみのパターンだというのである」 著者は都のベテラン労働相談員として、長年、「女性差別」問題にも関わってきた人物だ。いわゆる公式フェミニスト的な立場からは一定の距離をとりつつ、「三つのパターンの女性しか知らない」男たちの現状をもっと認識しなくちゃと言い、そうした男たちがことさらにこだわる「男らしさ」こそが問題の根っこではないかと指摘する。 女子社員のお茶くみ問題、セクハラ問題、総合職OL問題などなど、会社における「女性差別」の事例紹介は、似たような話を何度も聞いた気がする。だが、それらに対する現場の男たちの思いや戸惑いは、あまり詳細に報告されることはなかった。「男」の内面は、もっともっと言葉にされるべきである。 ●先見労務管理評(1995年10月25日)=男女雇用機会均等法が施行から10年目を迎え、女性の職場進出が進む一方で、女子学生の就職難などの新たな問題点も発生している。 このような中、東京都で労働相談窓口を担当し、セクハラなどの女性問題を男性側からの視点で展開している著者がまとめたのが本書である。多くの事例をもとにした「最新会社事情」であるとともに、昨今の女性問題の原因の多くが男性側にあることを証明している。 「男も女も」是非、読んでほしい一冊だ。 ●都政新報評(1995年12月15日)=女性の部下のいない管理職はむしろ少ない。管理職の心得としても一読を是非おすすめする。 ●ひろばユニオン評(1996年1月号)=就職差別やセクハラ、転勤による離婚危機、お茶汲み拒否騒動---本書は、赤裸々に語られる女性と企業のホンネを、読み物風にまとめたものだ。 女性の社会進出にともない、企業も男性も、彼女らを“職場の花”として飾っておくことはもはやできない。男と女のホンネのぶつかりあいを本書はあぶりだしている。 ●ふぇみん評(1995年10月25日)=男たちは、妻、娘、飲み屋のおかみ、この三つのパターンの女性しか知らないので、これ以外のパターンの女性が職場に出現すると、たちまち扱いに困ってしまうのだ、という指摘から本書は始まる。 超氷河期と言われる女子大生の就職状況の中で女性の採用を予定しない企業が面接でセクハラまがいの質問をしたり、女性の部下を叱れないで扱いに困る男たちにも、均等法時代に女性を真に働くパートナーとして認めることのできない企業・男たちの戸惑いが感じられるというのだ。 著者は、男性だが、長く都の労政事務所で相談業務に従事。女性たちがあたりまえに仕事をしていきたいという希望と、男たちの「女の役割は家庭を守ること」という意識のズレを感じる。自分の「男らしさ」にこだわる男たちに、何が起こっているかを通訳する著者の役割は大きい。 ●労働ニュース評(1995年11月6日)=女性の職場進出で、男たちは戸惑い混乱している。その混乱の一番の象徴は、女性の部下を叱れない上司が増えてきたことだという。 原因はどうも「らしさ」にあるらしい。男たちは思い込んでいる。女は弱いから保護してやらねば、と。だから、叱らない。半面、女は気配りをもってやさしく振る舞うべきだ、と女たちに期待している。ところが最近の女性は「控え目で自己主張しない女らしさ」という束縛を投げ捨てることで自由になろうとしている。 このズレが悲喜劇を生み出す。芝居にたとえれば、男性が期待するように女性が演技してくれない。こんなはずではなかった。だから、ますます叱れない。じっと我慢する。女性だって不満だ。遠慮してていねいに扱われることと交換に一人前に扱われない、自分たちはもっともっと我慢していると思っている。両者の我慢が極限に達し、そして怒りに変わり……。 金子さんの処方せんは簡単だ。「らしさ」の固定観念にとらわれていることが原因だ。だから「性別にとらわれず自分らしい生き方を」と提言している。 ●社会新報評=東京都職員として労働相談窓口で実務の一線に立ってきた著者は、職場で生じるギャップがどこにあるのかを豊富な実例の中から解き起こしていく。 男「らしさ」、女「らしさ」という常識のミゾが現実には合わなくなっているにもかかわらず、「らしさ」が意識のなかで、ひとり歩きしている。この「常識」を乗り越えていくための参考に。 | |||
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