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花・鳥・虫のしがらみ進化論 「共進化」を考える 【書評再録】 | |||
●朝日新聞評(1995年10月29日)=赤く色づいた木の実は鳥を呼び寄せる。食べてもらい種をばらまくためだ。ところが昆虫には赤い色が見えにくく、食害されるのを防ぐらしい。みごとな植物の「知恵」である。地球の生き物たちは、すべてこのようなかかわりのもとに進化してきた。身近な動植物を例に仮説を提供、「共進化」という考えで自然を理解しようとする。
●産経新聞評=ある種の木の新芽が赤いのは、赤色に敏感な鳥を呼び寄せて、取り付いた虫を捕ってもらうため、などという面白い話がいっぱい。 ●やましな鳥研NEWS評(1995年11月号)=作者は第一線で活躍中の鳥類研究者。 「進化論」「共進化」というと難しいような気がして、尻込みしてしまう人が多いかもしれない。この本はそんな人のために書かれた生態学の読み物である。「なぜ花はきれいなのか?」「蝶や蛾の目玉模様はどうやって進化したか」など当たり前に起こっている現象を、著者自身のちょっと笑えるような体験や私たちの身近で見られる例を交え科学の目でやさしく解説してくれる。この本を読むと身近な出来事が新鮮に見えてきたりするから不思議である。 ●バーダー評(1995年12月号)=「共進化」は、生物の示す多様な生態や形態のうち、ほかの生物との関係において有利になるものの進化を指す。本書は、その原動力の1つである食う--食われるの関係を中心に、具体的な事実から共進化のプロセスを考えるエッセイ。気軽に読み進むうちに、擬態、繁殖スケジュールの進化など生態学の重要なテーマの意味が頭に入ってくる。鳥や鳥をめぐる自然の見方を変えてくれる、楽しい本だ。 ●私たちの自然評(1996年3月号)=虫は捕食者である鳥から逃れる能力を発達させます。逆に、鳥はエサとなるものを見つける能力を発達させます。この本は、生物がこうした同種・多種の生物に対して進化させた適応的な形質を、「共進化」という概念のもとに考えてみるものです。 ●出版ニュース評(1995年12月上旬号)=なぜ植物は花に蜜を持ち、果実を実らせるのだろう。それは、自らの花粉や種を虫や鳥たちに遠くまで運んでもらいたいからなのだが、ここに至るまでには、植物側には効率的に虫や鳥を誘引しようとして花などの形態を進化させた膨大な時間の流れがあり、虫や鳥はそれに合わせて訪花習性、吸蜜形態、体の形状を進化させてきた歴史がある。 つまり、虫や鳥が植物を進化させ、その植物の進化がさらに鳥や虫を進化させたわけで、書名の「共進化」とはこのことを指している。豊富な例をあげながら、生物相互の共進化を楽しく解説してくれる。 ●日刊ゲンダイ評(1995年10月26日)=なぜこの世に花というものが咲くのか、果実というものが存在するのか。そうした思索をいかにも楽しげに語る文体が快い。 手ごたえのある進化論的考察をも忍ばせながら、読み手の空想も開く。いい本を出してくれた。 | |||
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