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日本人はどのように森をつくってきたのか

【書評再録】


●信濃毎日新聞、神戸新聞ほか評(1998年10月4日)=日本林政史 外国人の視点で
わかりやすく語る日本林政史
とても読みやすい本です。この本は「日本の森林は古代、中世と伐採が続く〈採取林業の千年〉を経て、近世の木材枯渇期を迎える。その木材が枯渇した近世では利用制限が行われる一方、造林技術の理論と実践が進み、人工林林業が起こり、土地利用制度も変化し、〈近世の育成林業の台頭〉の時期へ移る」。
簡単にいえばこんな筋立てで、とても分かりやすいし、訳文も流暢だし、難しい単語もないなど、すらすら読める本です。
論旨も簡明で分かりやすいので、皆さんの御一読を勧めます。

●東京新聞評(1998年9月3日)=日本の森林は、古代と近世に大きな略奪を経験した。前者は畿内盆地での支配者の記念建築物ブームで、後者は幕府や大名の大規模建築や船の建造で。にもかかわらず日本が「緑の列島」として20世紀を迎えることができたのはなぜか。米国の歴史学者の1989年の著作だが、国際的に評価が高い。森を守ること自体が目的ではなく、ヒト中心の森林生産に関心が寄せられたことの“副産物”として森林の回復がもたらされたという歴史認識は、人工林林業の崩壊を横目に、熱帯雨林や北方林の安い木材を求め続ける今こそ大事な視点だろう。

●科学評(1999年1月号)=本書は、主に森林の利用度が大きく高まってくる飛鳥時代から江戸時代末期までを対象に、全体像がわかりにくかった日本の森林の歴史や育成林業の歴史について書かれている。また、“訳者まえがき”には、簡単ではあるが、明治以降の森林の歴史や現状についても触れられており、本書によって過去約1400年の日本の森林史を振り返ることができる。
今日の里山などの自然をみる上でも、あるいは今日のエネルギーの問題を考える上でも、大いに参考になるであろう。
森林や植生などに関心をもつさまざまな分野の研究者にも、本書は大いに参考になるものである。

●林業技術評(1998年12月号)=世界の多くの地域で緑の大地が褐色の大地に変わっているのに、日本ではどのようにして逆のことが起こりえたのか? その疑問が明治以前の林政史についての綿密な調査研究を通じて集大成された。
本書には、読者それぞれを納得させたり、また新たな事実認識へと導き知的冒険への出発を促してくれるような盛りだくさんな内容が用意されている。
森林資源の共生・循環利用型システムづくりに向けて、本書が提供してくれる諸情報を現在および未来に活かしていくことも必要ではないかと思う。

●農林水産図書資料月報評(1998年12月号)=本書を通じて私たちは、森林・林業の問題はヒトの社会の問題であることを再認識させられる。
本書は、日本の森林と林業の歴史の全体像を知る好著であるとともに、日本の森林・林業が新たな危機に直面している現在、当事者である私たち日本人にとって必読の書でもある。

●岳人評(1998年11月号)=原著は「緑の列島」として1989年カリフォルニア大学の出版局から刊行された。日本の森林と林業の歴史を、数多くの二次資料を駆使してまとめたもの。
本書は明治維新まで1200年におよぶ日本の森林史の、全体像を描き出した通史である。

●世界日報評(1998年8月31日)=今日の日本が緑豊かな列島として存在しているのは、採取的林業から育成的林業に移行したためであると著者は高く評価している。
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