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昆虫放談

【読者の声】


●北杜夫氏=もし文学に「懐かしのメロディ」といったものがあったら、「昆虫放談」は私にとってまさしくそういう本である。この本はけっして虫好きのためのものばかりでなく、その語り口がなんとも楽しい。しかもオオムラサキを幼虫から飼育するくだりが、下手な小説やエッセイよりよほどおもしろい。子どもから大人まで、本書を読んで思わず笑わぬ人はおらぬはずだし、しかも何物かを与えてくれる本といえる。

●泉麻人氏=昆虫採集、飼育の楽しさをごく私的な日記タッチで綴っている。オオムラサキの幼虫を探しに行って夢中になりすぎ日射病になるくだりとか、アブとまちがえてスズメバチを手づかみして刺される描写とかが、ほんとうにおかしい。所々に挿しこまれた自作のイラストが、これまた妙にコミカルな味があっていい。「自分の中の忘れかけていた少年性」みたいなものを再掘できる一冊。
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