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みんなの保育大学シリーズ9
歯の健康と子どものからだ

【内容紹介】本書「まえがき」より


 私は小児歯科専門の歯科医ですが、昭和30年代、40年代を通して日本の小児、それもごく低年齢の幼児にムシ歯が猛威をきわめ、その対策に非常に苦慮した経験があります。こんにちでは幸いにして、その頃に比べると幼小児のムシ歯はやや沈静化しましたが、それでもまだ重症のムシ歯をもつ子どもたちは決して少なくありません。またそれほどひどくはなくても、一般にムシ歯にかかっている子の数は、欧米の先進国よりもはるかに多いのが現状です。
 幼い子たちがムシ歯で悩まされるのは、単に、痛んだり栄養物が食べられないで可哀想というばかりでなく、全身的にもいろいろの病気を引き起こすことは、よく知られているとおりです。それで常日ごろ子どもたちの口の中を見るたびに、どうしたらムシ歯が予防できるかを真剣に考えております。
 ご承知のようにムシ歯の予防にはいろいろの方法がありますが、基本的には母親を含む子どもの周囲の大人が、もっと子どもの歯に関心をもっていただくしかない、と私は思っています。たとえば甘いおやつを食べすぎないようにするとか、歯をよくみがいて寝るなどといったことは、いずれも日常のちょっとした生活習慣やしつけの問題だからです。
 つまり歯についてよく知っていただいた上で、日常の保育環境、育児のしかたを正してくだされば、ムシ歯は恐らく半減、いやそれ以上に自然に減ってしまうでしょう。ムシ歯予防といって決して大げさに考えなくてもよいのです。
 保母さんやお母さま方に読んでいただいて、少しでも参考になり、子どもたちのムシ歯が防げれば、こんな喜びはありません。
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