大八木和久（おおやぎ・かずひさ）

1950年生まれ。自称は化石収集家ではなく、化石採集家である。
化石歴は50年。還暦を過ぎた今でも、化石採集に全国を飛び回っていて、気持ちは若い頃と何ら変わらない。
精神年齢は10代、体力年齢は40代と自称する。
自然が大好きで、動植物の自然観察、写真撮影や野山を歩くことが大好き。
根っからの旅好きで、歩いたり、自転車に乗ったりの旅が大好きだ。

前書き
本書の化石産地一覧

第1章  東奔西走
1〈北海道〉上猿払のキダリス
2〈岡山県〉大佐の巨大ビカリア
3〈福井県〉貝皿のアンモナイト
4〈秋田県〉男鹿半島・安田海岸の化石
5〈福井県〉上伊勢のサンゴ化石
6〈和歌山県〉藤島海岸のツリテラ
7〈宮城県〉寒風沢のマツモリツキヒ
8〈新潟県〉魚岩の魚化石
9〈宮城県〉鶴巣の鳴門骨
10〈岐阜県〉一重ヶ根のサンゴ化石
11〈大分県〉奥双石の魚化石
12〈福島県〉小良ヶ浜の化石
13〈高知県〉唐浜フィーバー
14〈滋賀県〉新名神高速道の工事現場にて
15〈宮崎県〉通浜の化石
16〈兵庫県〉淡路島の化石�@　ヤーディア
17〈北海道〉青山の謎の哺乳類化石
18〈福井県〉難波江のアンモナイト
19〈北海道〉上の沢の大型アンモナイト�@
20〈岐阜県〉福地の直角石
21〈熊本県〉椚島のアンモナイト
22〈北海道〉上の沢の大型アンモナイト�A
23〈福井県〉高浜のアッツリアフィーバー
24〈北海道〉奥尻島のビカリア
25〈北海道〉上の沢の大型アンモナイト�B

第2章  仲間を増やして
26〈北海道〉上羽幌を歩いて一周する
27〈北海道〉逆川を自転車で一周する
28〈兵庫県〉淡路島の化石�A　モサザウルス
29〈富山県・福井県〉北陸地方のビカリア
30〈石川県〉関野鼻のムカシチサラガイ
31〈富山県〉高岡のホオジロザメ
32〈石川県〉七尾のノトキンチャク
33〈兵庫県〉淡路島の化石�B　プラビトセラス
34〈岐阜県〉根尾の化石�@　初めての根尾
35〈新潟県〉青海の巨大直角石と巨大ムールロニア
36〈三重県〉恵利原のキダリス
37〈北海道〉白亜紀のオウムガイ
38〈北海道〉化石沢を目指す
39〈長崎県〉沖ノ島のアッツリア
40〈北海道〉メタプラセンチセラスの完全体
41〈岡山県〉皿川のビカリア
42〈石川県〉大桑の化石

第3章  化石を探究する
43〈三重県〉柳谷のメガロドンとキャッチャーミット
44〈岐阜県〉根尾の化石�A　オウムガイ層の発見
45〈北海道〉古丹別川のインターメディウム
46〈北海道〉決死の羽幌川巡検
47〈岐阜県〉根尾の化石�B　サンゴ層の発見
48〈千葉県〉瀬又のカメホウズキチョウチン�@
49〈岐阜県〉根尾のNeo 菊花石
50〈北海道〉オンコ沢のユーパキディスカス
51〈北海道〉初めてのニッポニテス
52〈北海道〉タカハシホタテの採集会
53〈滋賀県〉サンゴ山の三葉虫
54〈北海道〉アイヌ沢のメナビテス
55〈千葉県〉瀬又のカメホウズキチョウチン�A
56〈宮城県〉気仙沼のミケリニア
57〈北海道〉三毛別川のリヌパルス

後書き　化石人生を振り返って
付録　北海道内国有林への入山について

  　化石採集のノウハウや整理方法をまとめたシリーズの最終巻『日本全国化石採集の旅・完結編』の発刊から早20年が経ちました。その後も採集活動は絶え間なく続き、『産地別　日本の化石800選――本でみる化石博物館』『産地別　日本の化石650選――本でみる化石博物館・新館』『産地別　日本の化石750選――本でみる化石博物館・別館』（以下、『800選』『650選』『750選』）と、その成果の発表を続けてきました。

  　そして今回、『日本全国化石採集の旅』シリーズは完結編でピリオドは打ったものの、やはりこの素晴らしい成果を言葉でお伝えしなければと思って筆をとった次第です。

  　標本の写真だけではなく、言葉でそのときの様子を伝えよう、そうすれば臨場感も出てきっと化石採集のあのわくわく感が伝わると思ったのです。さらに、『750選』発刊以後の化石もぜひお知らせしたく、急いで書き上げました。

  　中学生のときに化石を始め、2016年で満50年を迎えました。そんな僕ももう67歳になってしまいました。歳をとったのは事実ですが、活動は衰えを見せず、今なお活発に続けています。今でも年間50日程度は採集に出かけています。一頃よりは採集日数は若干少なくなりましたが、それは行くところが少なくなったからでしょう。

  　最も活発に活動したのは2000年から2013年頃だったようです。何しろ、多いときには年間100 日も採集に出かけていたくらいですから。

  　近年、以前は産出したところが採れなくなっています。また、採集禁止になるところが増え、我々化石の愛好家にとっては一番の悩みです。そのため化石から遠ざかる人も多く、僕の友人も活動が減り、交遊も少なくなっています。じつに寂しいことです。だからといって化石をやめる僕ではありません。「化石は採れるときに採っておけ」です。楽しい限り採集に出かけています。

  　知り合いの方がこういう質問をしてきました。

  　「大八木さんはなぜいい化石が採れるんですか」と。少し返答に詰まりましたが、やはり「同じ所に何度も通え」「徹底的に探し回れ」「採れるときに採っておけ」だと答えました。ようは、採集に行かなければなにも始まらないのです。宝くじと同じです。買わなければ当たりませんよね。たとえ眼力のない人でも、何回も通えば必ずいいものは見つかるはずです。下手な鉄砲、数撃ちゃ当たるです。絶対に採れます。ですから野外に出ましょう。化石採集に行きましょう。いい化石を見つけ、少し大げさかもしれませんが、生きてて良かったと、そう思いましょう。

  　僕の化石人生は死ぬまで続きます。見守ってください。（後略）

本書第1刷に収載いたしました「本書の化石産地一覧」で、以下の表記が誤っておりました。
お詫びして、追加訂正いたします。
※2018年12月25日現在

P.7
24 北海道奥尻町「第四紀更新世」削除

P.8
2 15 位置修正（画像参照）
16 18 中新世白亜紀→中生代白亜紀

　化石を自分で採ってみたい、狙った化石が採れる場所が知りたい。そんな化石ハンターにおすすめの本ができました！
　半世紀にわたって化石に魅了され続けている著者が、化石図鑑には載らない採集方法や秘密の採集地の様子を伝授します。

　著者曰く、化石採集の極意は「同じ所に何度も通うこと」「徹底的に探し回ること」「採れるときに採っておくこと」。
　山崩れや雪解け、地震や台風などの自然災害によって刻々と変わる産地の環境を見逃さず、
車やフェリーで遠征したり、化石仲間と交流したり、熊に怯えたりしながら、今しか採れないものを採る。
そんなロマンが詰まった採集活動に人生を捧げた著者の熱い思いは、読んでわくわくすること間違いなしです。

　草木が枯れて地面がむき出しになる冬は、化石採集の絶好のシーズン。採集のお供に最適の１冊です。