はじめに
第1章 芝生の天使―――キノコはどのようにして育つのか
旅する胞子
胞子から菌糸へ
誰が胞子を見たのか
菌糸構造の発達
菌の生活史
キノコの性と形態形成
重力が決め手
水圧で大きくなるキノコ
コロニーとキノコ
キノコが告げる温暖化
第2章 ヒダの運動―――キノコが胞子を飛ばす見事な仕掛け
ハラタケとマッシュルーム
ブラーのしずく
胞子の射出
胞子が飛び出す速度
担子菌における胞子射出の進化
噴出銃とパッフィング
管孔から飛び出す
胞子の大きさと射出速度
胞子の形と液滴
キノコの形で決まる胞子射出
第3章 キノコの勝利―――キノコを作る菌類の多様さとその働き
キノコの色と毒
キノコの形と性的隔離
形態による分類
分子生物学による分類の見直し
キノコに見る生態の多様性
材の褐色腐朽と白色腐朽
草地のフェアリーリング
キノコによる感染症
キノコと共生するハキリアリとシロアリ
キノコと樹木の共生--外生菌根
外生菌根の進化と三者共生
第4章 悪食―――キノコ狩り
ゲテモノ食いのマッキルヴェイン
食用キノコ・毒キノコの鑑別ガイド
アマチュア菌学会の功罪
キノコの乱獲と規制
野生キノコブーム
消えゆく菌根菌
キノコ好きとキノコ嫌い
キノコ図版剽窃事件
フォーレイから菌学会へ
キノコを何だと思っているのだ
第5章 ホワイト種とベビーベラ―――地球規模になったキノコ栽培
マッシュルーム栽培の始まり
栽培舎と種菌の開発競争
あふれるマッシュルーム食品
スノーホワイト(白雪姫)の登場
進歩する栽培法
キノコ栽培とアレルギー
難しい菌根性キノコの栽培
菌根によるバイオリメディエーション
セシウムを集めるキノコ
第6章 タマゴテングタケと肝機能不全―――毒キノコとキノコ中毒
著者のつぶやき
「黄色い騎士」とニセクロハツ
あいまいなキノコ中毒
フウセンタケが危ない
大切な可食・毒の判定
フウセンタケの毒素オレラニン
タマゴテングタケの毒素アマトキシン
タマゴテングタケ中毒の治療薬
シャグマアミガサタケ
アメリカのキノコ中毒患者数
摂食阻害剤としての毒
嫌われ者のキノコ
第7章 ヴィクトリア朝風のヒッピー―――モーデカイ・クックとキノコ中毒の科学
頭が変になるキノコ
変人のクックと麻薬
ベニテングタケの幻覚作用
祭祀とシビレタケ
マジックマッシュルームとシロシビン
体験者に共通する幻覚
シロシビンの薬効と臨床実験
ハエ殺しか神の使いか
マジックマッシュルームで禁固刑
第8章 寿命は延ばせるのか―――キノコと医薬品
癌の治療法はすでに存在している
疑わしいチョレイマ イタケの薬効
過剰宣伝と規制強化
有望なグルカン
カワラタケの抗癌剤PSKとPSP
医薬用キノコの双璧
シイタケのレンチナンとエイズ
万能薬はない流行る代替医療と健康食品
キノコと抗酸化剤
未来に期待すること
謝辞
註
訳者あとがき
索引
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