ジェイムズ・プロセック(James Prosek) 1975年アメリカ、コネティカット州生まれ。 19歳のときに書いた『Trout: An Illustrated History〔マス:絵による歴史〕』が「オーデュボンの再来」として、 その美しいフルカラーのイラストと文章で注目されて以降、マス、釣り、自然との関わりの中で出会った人々をテーマとする10冊以上の著書を出版した。 自然保護運動にも深く関わり、アウトドア用品メーカー「パタゴニア」の創業者イヴォン・シュイナードとともに、 野生の魚の保護活動を支援する団体「ワールド・トラウト・イニシアチブ」を設立。 ライターとしてだけではなくアーティストとしても知られており、 主要な美術館・画廊で個展を開くなど、美術を通して自然保護へのメッセージを発信し続けている。
小林正佳(こばやし・まさよし) 1946年、北海道札幌市生まれ。国際基督教大学教養学部、東京大学大学院博士課程(宗教学)を修了。 1970年以来日本民俗舞踊研究会に所属して須藤武子師に舞踊を師事。 1978年福井県織田町(現越前町)の五島哲氏に陶芸を師事し、1981 年織田町上戸に開窯。 1988年から2015年まで天理大学に奉職。 その間、1996〜1998年トロント大学訪問教授、セント・メリーズ大学訪問研究員としてカナダに滞在。 2000〜2002年、2009〜2010年、中国文化大学交換教授として台湾に滞在。民俗舞踊を鏡に、宗教体験と結ぶ舞踊体験、踊る身体のあり方を探ってきた。 民俗と創造、自然を見つめる眼ざしといったテーマにも関心がある。 著書に『踊りと身体の回路』『舞踊論の視角』(以上、青弓社)、 訳書にヒューストン著『北極で暮らした日々』、ロックウェル著『クマとアメリカ・インディアンの暮らし』(以上、どうぶつ社)、 モウェット著『狼が語る』、 ビトナー著『都会の野生オウム観察記』(以上、築地書館)など。
序章 ウナギへの思い 第1章 不思議な魚 ギリシャ時代から現代まで、ウナギは謎に満ちている。アリストテレス、リンネ、フロイトはウナギの誕生をどのように考えたのか? ウナギの謎を巡って 第2章 サルガッソ海へ 魔の海域、バミューダトライアングルでウナギは産卵する。米国で毎年ウナギ簗を築く川漁師が語る、産卵後のウナギの行方。 レイとウナギの簗 大移動を見たい 第3章 マオリの国のウナギ オオウナギと暮らす先住民、マオリ。タニファと呼ばれる神聖なウナギにまつわる不思議な文化を巡ってニュージーランドを旅する。 タニファへの導き 違う世界への予感 ヒレナガウナギとの出会い ポリネシアの生きた神話 マオリの長老たちを訪ねる ステラとイウィの人々 ファカキーの潟湖 老人たちが育った時代 ウナギの吠え声 ウナギ保護運動 科学の知識と、知らないということ 第4章 さらなるタニファの物語 オオウナギと暮らす先住民、マオリ。タニファと呼ばれる神聖なウナギにまつわる不思議な文化を巡ってニュージーランドを旅する。 ウナギと泳ぐ ヒナキを仕掛ける ブッシュガイド・DJ 畏れと覚醒 第5章 淡水の最初の味 シラスウナギは夜、海から川へ移動する。1キロで数百ドルもの価値がある魚に、欧米の漁師と中国人ブローカーは一攫千金の夢を見る。 シラスウナギ獲得競争 アジア人ディーラー 第6章 大洋へ ウナギの減少の要因は海にある。ウナギ再生産の鍵を握る産卵する親ウナギを捕まえるため、アメリカの研究者は魔のバミューダ海域へ。 ウナギが生まれる場所 第7章 ウナギの死に場所 世界最大のウナギ消費国・日本。築地市場や加工場から養殖研究へ、「土用の丑の日」が支えるウナギ再生産の科学をたどり、塚本教授と居酒屋で語り合う。 ウナギと日本人 塚本教授の発見と疑問 日本のウナギ養殖 第8章 ウナギ簗の窪 アメリカ、北東部で、数千匹のウナギが激流に乗って川を下り、川漁師が築き上げた簗へ飛びこんでいく。夏の嵐の夜、ウナギの大移動が始まった。 簗を築いて待つ 嵐とウナギの大移動 第9章 ウーのラシアラップ 謎の古代遺跡の島、ポンペイに暮らす人々のあいだにひそかに伝わる、島の成り立ちと古代からのウナギの物語。 ポンペイ島へ サカウを飲む 物語の断片 サカウバー ラシアラップの老女の話 呪術が生きていた時代 ケミシックの物語 私が語る 第10章 通り道の障害物 アメリカでウナギの絶滅危惧種認定が叶わない理由とは? ウナギの降河を阻む水力発電ダムをめぐって、二人の兄弟が立ち上がる。 激減するウナギ ウナギを救う闘い USFWSの報告書 第11章 それでも狩りは続く 科学、文化、精神的な影響を与え続ける生きもの、ウナギの探究は続く。 魔法のような夜とウナギの神秘 謝辞 訳者あとがき