はじめに
序章 衰退した日本林業
日本の森の惨状を知らない日本人
拡大造林政策とは
植林をするのは善で、木を切るのは悪なのか
森の機能を無視したスギ、ヒノキ林業
赤字を生みつづけた林野庁
産業として成り立たない民有林の林業
さまざまな機能をもつ自然に近い森に戻すには
第1章 美しいドイツの森を支える仕組み
1.多様な機能を発揮するドイツの森
ドイツの国土と森
森林の所有形態
民有林
州有林の成り立ちと課題
州独自の森づくりと多様な樹種
森の形は針広混交複層林
多様な森の機能
樹木の多様な用途
2.ドイツの森を支える国や州の仕組み
連邦森林庁
州政府森林庁
森林局・営林署
3.ドイツ林業の主要産業への道のり
森にかかわる利害関係者
森林の定義とその所有の変化
森林関連クラスター
利害を調整するドイツ森林法
民有林の支援
民有林の林道造成補助
林道からパソコン情報処理、合理的な流通・販売システム
4.ドイツの森を支える森林官
森林官の権限とその役割
森林官による営林と民有林への支援
職業訓練生の教育
環境保護と森林教育
第2章 ドイツ林業のシステム
1.原木市場ではなく電子入札システム
2.原木の等級選別
3.高価値材の計測
4.工業用・パルプ用材の計測
5.高性能林業機械の意味
6.データ管理と合理的な給与計算システム
7.施業の把握とGISシステム
第3章 産業として成り立つ林業経営
1.企業としての価値
2.国産材の価値
3.ドイツ民有林の実態
4.日本林業の考察
5.日本林業を産業として成り立たせるためには
6.経営的に成り立つ林業事業体の規模
第4章 森林官と森林局、森林研究所
1.森林官の出身大学
2.森林局の日常
市民チェーンソー教室
高校生の森林局訪問
3.森林官の仕事
生産技術森林官の仕事
林道担当マイスター森林官
教育担当専門官と職業訓練生
森林教育専門官
4.森林局長の仕事
州森林庁木材販売マーケティング会議
市環境会議、市民活動グループ対応
5.森林エコロジー営林研究所
電気と暖房は薪で
森の中での地道なデータ収集
RP州南部一帯にある研究林
森林官の大事な仕事である狩猟
第5章 ドイツの森林官育成システム
1.学術性、専門性をもつ森林官
林業の管理者としての森林官
ドイツ森林法の規定
子どもたちがあこがれる職業、貴族の特権と森林官
2.学術性、専門性と規範の力
中央政府の役目、規範の発信
狩猟の必要性の発信
3.森林官になるには
高級森林官(森林調整官、連邦・州政府官僚)
上級森林官(森林監視官)
普通森林官(林業技術士)
4.総合大学森林科学部
教育目的
フライブルク大学森林科学環境学部の組織、講座
授業の基本単位、森林管理・林産業のための基礎課程
総合大学森林科学部の立地条件
外国での実習
外国人留学生
その他の総合大学森林学部
5.専門大学営林学科
営林専門大学の教育目的
ロッテンブルク専門大学の組織
授業の基本単位
シュヴァルツヴァルト(黒い森)の北東部、森のそばの専門大学
ロッテンブルク専門大学営林学科の授業
専門大学の立ち位置
基本的に留学生はいない
6.林業職業訓練学校
教育目的
訓練学校の講座
中間試験、卒業試験
実務に即した試験問題
第6章 ドイツの近自然型造林
1.ドイツ林業と日本林業の差、皆伐の是非
なぜドイツでは皆伐を禁止するのか
皆伐によらない、伐採、更新、育林の形
択伐の特徴
天然更新の長所
2.ドイツから見た日本の問題
発想を変えられない体質
産業としての組み立て
時代の転機、林業再生の機会
3.ドイツの近自然型造林
近自然型造林の考え方
自然に適合した森林管理と林業
近自然型造林と多機能性
目標林形
針広混交複層林のための目標設定
日本の事情とドイツの事情
生産目標
日本の森を近自然型に変えていくには
第7章 林業労働安全学・人間工学
法的規定からくる要求
労働の適切性
機械を使った労働
騒音
騒音による聴覚障害
騒音からの保護
振動
排気ガス
林業技術士の安全装備と切断防止ズボン、作業着
終 章 100年前の単純モデル「法正林思想」、じつは誤訳だった
おわりに
付録1 ドイツ連邦森林法
付録2 ラインラント・パルツ州森林法
付録3 ドイツの大学で森林学を学ぶ人のための留学ガイド
コラム
1 日本とドイツの森林所有の種類と管理
2 高齢化する日本の森林組合職員
3 バーデン・ヴュルテンベルク州シュヴァルツヴァルト(黒い森)付近の森林所有形態
4 州によって異なる樹種構成
5 自然保護区域の表示
6 林道にあるさまざまな標識
7 市民が利用できる州や自治体森林局管理のヒュッテ
8 種子、穂木、苗木の血統書
9 森をめぐるさまざまな利害関係者
10 森を利用する権利と自己責任
11 バイエルン州東部の民有林の所有規模と森林所有の意図
12 バーデン・ヴュルテンベルク州テュービンゲンのビュール渓谷付近の林道網
13 原木等級選別とナンバリング
14 材積の計算モデル
15 除間伐材の計測と管理
16 8輪フォワーダー、ハーベスター
17 ヨーロッパの最先端の林業機械をつくっている日本企業
18 森林エコロジー営林研究所の森林環境モニタリング
19 ドイツの薪温熱システムvs.日本の薪ストーブ
20 ロッテンブルク専門大学営林学科
21 ドイツ林業の歴史と伐採・更新の形態の変化
22 森林のゾーニング─日本とドイツの違い
23 間伐率と補助金、密度管理図
24 切断防止機能つき林業作業ズボンにつけられるシンボルマークとドイツ安全試験機関の適合認定マーク
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