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風景は百姓仕事がつくる

宇根豊[著]

1800円+税 四六判並製 312頁 2010年3月発行 ISBN978-4-8067-1396-8



自然環境が守られても、
日本中の風景-----
田んぼ、里山、赤とんぼ
が舞う、ありふれた
村の風景------が、
見苦しくなっているのは、なぜか。
生きもののにぎわいと結ばれてきた
百姓仕事の心根とまなざしが、近代化
の海の中で、溺れかかっているからだ。


池の中の鮒には、池は見えないが、池の中のことはよく
見えている。池から這い上がった鮒の視点だけで世界が
語られることに、そうではない、と言い続けたい。


【目次】


はじめに

1 風景の発見
   どこでとれたの?とたずねる習慣
   ただの風景を壊していくもの
   棚田の風景はだれが発見したのか
   名所旧跡型の風景と「ただの風景」
   アンケート結果の紹介
   畦に彼岸花の咲く風景
   旅行者の視点、生活者の視点、さらに深い視点
   風景になる前
   「風景化」という考え方
   自然美とは何か
   ただの風景を「風景化」する方法

2 風景の中の百姓仕事の発見
   百姓はなぜ仕事の合間には風景を眺めるのか―もう一つの風景化
   アンケート結果の紹介
   木陰で憩う理由
   田んぼから吹く風
   百姓にとっての「風景化」の手順
   アンケート結果の紹介
   風景の中の百姓仕事
   もう一つの風景の発見―押し寄せてくる異形の自然
   アンケート結果の紹介
   ふたたび百姓が仕事の合間には風景を眺めるわけ
   アンケート結果の紹介
   百姓仕事の美しさ

3 百姓仕事が守り、農業技術が壊した風景
   百姓仕事が生み出した風景
   生きものとのつきあい
   風景と時間
   近代化技術による破壊
   風景としての田んぼの大きさ
   生産の定義の書き換えを

4 「風景」と「景観」のちがい
   自然と花鳥風月
   自然の再定義―農業と自然の関係
   「景観」と「風景」のちがい
   「景観法」への違和感
   アンケート結果の紹介
   世界認識の回復

5 風景の表現
   百姓はどんな風景が好きか
   アンケート結果の紹介
   百姓仕事が投影された風景
   アンケート結果の紹介
   アンケート結果の紹介
   生きものからの情感を風景として語る
   アンケート結果の紹介
   百姓のまなざしの深さ
   アンケート結果の紹介
   変化への嫌悪・近代化論

6 永遠のただの風景
   死後にのこす四季
   ただの風景の価値
   くり返す自然と永続する百姓仕事
   ただの風景を守る政策
   ナショナリズムと風景

おわりに
資料―「風景についてのアンケート」調査
参考文献
著者紹介