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カタツムリの生活 【内容紹介】本書「はじめに」より | |||
“一寸の虫にも五分の魂”とか、“たかが虫けら”“たで食う虫も好きずき”と虫にまつわることわざはよく聞かれますが、虫に対する評価は千差万別です。それだけ虫の種類がいろいろあるからなのでしょう。 ちょっと思い浮かべてみるだけでも、チョウチョウ、トンボ、カブトムシ、セミ、バッタ、アメンボウと、じつにさまざまな昆虫が出てきて虫の世界の広さに驚きます。 それでは、童謡にも歌われている“デンデンムシ”は“ムシ”がついているから、昆虫のなかまなのでしょうか? みぢかな生き物であるのに、デンデンムシ(カタツムリ)については、知られていないことがたくさんあります。その理由には、次のようなことがあります。 1.デンデンムシの生息によいような自然環境が、開発の波に乗って破壊されてしまい、最近では都市部を中心としてカタツムリをみつける機会がめっきりへっています。 2.人間生活とは、あまり深いかかわりがないことから、デンデンムシの存在そのものが忘れられがちになっているからでしょう。子どもたちのよき遊び相手ではあっても、おとなになればかかわりがうすれてしまいます。 3.すぐれた専門書や機関誌はあっても、いっぱんの人が気楽に読めるような“でんでんむし”の本はあまりありませんでした。 このため、というわけではありませんが、この本は、ふとしたことから(自然保護の立場で)カタツムリのことについて、話をする機会があり、そのときの原稿をもとに、もっとおおくの人にもデンデンムシの話を聞いていただこうと、筆を進めたものです。 タイトルにカタツムリをとりあげたのは、私がいちばん親しくしている動物がカタツムリであるためですが、できるだけはば広い自然現象の中でデンデンムシの置かれている位置を理解していただくことや、カタツムリに代表してもらって、おおくの人に自然保護について関心をもっていただくようにお話を進めることにいたします。 人間もデンデンムシも宇宙船地球号の乗組員の一人ひとりとして、地球(自然)の将来をともに語り合うことが必要です。これを機会に、カタツムリとも友だちになっていただけることをねがっています。 | |||
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