「防災大国」キューバに世界が注目するわけ
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中村八郎吉田太郎[著]
2,400円+税 四六判並製 320頁 2011年11月刊行 ISBN978-4-8067-1431-6


風速300キロのハリケーンでも死者が出ない国
人間と暮らしを重視し、分散型自然再生エネルギー社会へとシフトする
キューバの「防災力のある社会」づくりの秘密を解き明かす。

地球上で最も多くの人々の命を奪っている災害は、ハリケーンとサイクロンだ。
米国やオーストラリアのような先進国といえども、自然災害のリスクからは逃れられない。
だが、大型ハリケーンの襲来を年に3度も受けながら、全国民の25%にあたる300万人が安全に避難し、わずか7人の死者しか出さなかった国がある。
地区の住宅の80%が破壊されても誰ひとり死なない。

想定外の高潮が沿岸の町に差し迫れば、トラックとバスを総動員し、2時間以内に全住民が高台へと避難する。
家財は安全な倉庫へと移し、避難所には医師が待機し、ペットすら獣医がケアする。
災害で壊れた家屋や家具はすべて政府が補償し、被災地には全国からボランティアが駆けつけ、復旧公共事業として自宅改修費を本人に出し、街に仕事と雇用を創出していく。

キューバは国連も防災のモデル国とし、米国からも視察が後を絶たない防災大国だ。
二酸化炭素の排出量を減らすため、省エネ家電製品を全国民に配布し、小学校から大学まで省エネ教育を実施し、1990年の3分の1にまでエネルギー消費量を減らす。2006年、フィデル・カストロはさらに野心的な「エネルギー革命」を打ち出す。
ベネズエラには省エネ電球を配布し、ボリビアやホンジュラスにはソーラーパネルを設置し、チリではバイオガスプラント、エクアドルでは小規模水力発電所の建設を支援する。
エネルギー「革命」が、いま途上国を中心に海外に輸出されつつある。

リスクをしなやかに受け止め、災害を受けるたびに防災とエネルギー政策を改善することで立ち向かっていく。
この貧しく小さな国には3.11以降の日本が参考とすべき「災害と共生する文化」の智恵が眠っている。

地域防災の専門家・中村八郎と、キューバの農業、医療についての著作がある吉田太郎がコンビを組んで行った緊急現地調査に基づく最新キューバ・リポート。

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