「健康を維持する」ということは「病気にならないからだをつくる」ということです。病気にならないからだは、薬によっては得られません。人間が持っている「自然治癒能力を強化する」ことによってこそ、本当の健康が得られるのです。この「自然治癒能力の強化による健康づくり」に関して、古来より様々な方法、文献が残されています。気功健康法もその中の一つです。気功とは「気」というエネルギーを使って目的に達する方法です。古来において気功は、人間が生きていく上での様々な現象、つまり将来の予測、戦争における戦略立案、運命の占い、からだの健康、永遠の命など幅広い範囲に応用されてきました。それというのも、「気」というものの存在が非常に微妙であり、またそこに、不思議な力や独特な技術があるからなのです。
さて、本書では、様々な気功法の中から、「道家気功」の主流をなす「武当龍門派」の「養生気功」を中心に紹介しています。とにかく実際に体験していただくことが第一と考えましたので、本書では、気功の様々な流派や理論的な説明などはすべて後回しにし、実践から始まります。とにかくまずやってみてください。
実践編の各気功法の説明では、わかりやすいように図解することを心がけました。
本書は基本的には、3通りの読み方ができます。
まず、説明を読むのは面倒だけれど、とにかくすぐにやってみたい方。……実践編の図解を見て始めてください。実践編の図解では、基本的な姿勢を示すと同時に、動作を実線で、意識の動かし方を点線で示してあります。最低限必要な情報はこれだけです。
もう少し各気功法のやり方や意味などを詳しく知りたい方……各気功法については、動作の仕方や意識の動かし方を、本文でもそれぞれ詳細に説明してあります。また、それぞれの気功法が、どのような「気」の循環・導引を行い、どのような目的を持っているか、またその元となる考え方についても述べています。これらをまず読んで理解してから行ってください。
気功の世界の全体像について、まず頭で理解してから始めたい方……理論編から先にお読みください。理論編では、気功の様々な流派や考え方、気功の基礎理論について、さらにタオの気功の思想や各段階について、説明しています。「道家気功」や「武当龍門派」や「養生気功」などの用語についても、この理論編で詳しく説明しています。ここで先に気功の世界についての知識を深めてから実践されるのも1つのやり方です。
どのようなやり方で始められるにせよ、道教武当龍門派の養生気功を正しく理解し、みなさんの健康増進に役立てていただければ幸いです。気功の世界は奥が深く、修練を積んでいくと健康の増進に役立つだけではなく、様々な潜在能力の開発も可能です。さあ、それではとにかく始めてみましょう。
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