戸城素子[著]
2400円+税 四六判 ハードカバー 384頁 2006年7月発行 ISBN4-8067-1338-4
終戦から8年にわたり、敗戦国民でありながら、日本人としての矜持を失わずに、新中国建設に邁進した製紙技術者、瀬戸健次郎の半生。
ソ連軍進駐、国共内戦、思想学習会、人民裁判、公開処刑--------その渦中にいた者にしか描き得ない壮絶な人間ドラマ。その中で、家族8人全員の生還を果たした瀬戸夫妻の、不器用ながらも、凛とした生き様を、ともに死線を越えてきた娘が描く傑作ノンフィクション。
はじめに 第1章 子供たちよ生き抜けよ 5 海を渡る 5 船に乗りそびれる 11 兵隊さんに歌をうたう 14 釜山に上陸 18 満州へ 21 初めての水洗トイレ 24 新京の独身寮 28 街のにおい 31 街を探検する 36 学園生活 41 銃後を守る婦人会 43 ボイラーマン朱さんの娘 45 春節 48 百貨店でショッピング 50 新居完成 54 織田信長の生まれ変わり 58 訪問者たち 59 努力が足りない私 66 ソ連侵攻を指令室で聞く 72 おまえが兄弟たちを守りなさい 78 第2章 避難、敗戦-蓮の花のごとく生きよ 87 避難列車 87 鴨緑江を渡り朝鮮へ 92 定州小学校 94 耐えがたきを耐え? 98 八月十五日以後 102 避難民生活の知恵 104 南下組と新京へ帰る組 108 差し入れ 110 駅前の広場 113 青年団長 117 第3章 再び新京へ 121 父のもとへ 121 ソ連兵 123 三歳の坊やの埋葬を手伝う 125 父との再会 131 新京の我が家にもどる 136 敗戦後の新京 140 ボイラーマン朱さんの差し入れ 150 ソ連占領下の新京 153 商売 158 ソ連兵の立ち退き命令を撤回させる 161 秘密の任務 165 弟の誕生 171 ソ連軍引き揚げ173 満映の甘粕氏の最期 175 国府軍入場 178 八路軍(山東八路軍で非常に優れた部隊) 180 再び国府軍 185 引き揚げ開始 188 残留命令 190 「自己の特技製紙技術を発揮する機会到来」 194 丹東脱出 197 第4章 飢餓との闘い 206 長春大学留用 206 青酸カリ 218 母は強し 221 (検問所) 229 真空地帯 238 共産党の指令により東部を目指す 250 第5章 中国革命の中で 275 吉林へ新中国とともに 275 哈達湾吉林造紙廠へ 281 工廠での生活 287 人民裁判 293 教育問題 296 仕事場の仲間達 300 反革命分子運動 306 思想学習会 314 「思想が悪い」 316 母の歌 319 ソ連からの技術者 330 仕事が認められる 333 大切な長い髪 336 ラジオ 338 公開処刑 343 パーマをかける349 第6章 帰国の時 353 待遇の変化353 残留への説得 356 帰国 359 素皇島へ 363 祖国へ369 終章 372 母 瀬戸倫子 372 父 瀬戸健次郎 374 おわりに 378